管理人室
恵里「というわけで まだ分かりませんが しばらく 私の部屋にいることに。」
みづえ「そう…。」
恵達「よろしくお願いします。」
みづえ「大変だったわね 戦争の時は…。」
恵達「え?」
みづえ「どこに いらしたの? 大丈夫だった?」
恵達「はい 僕は まだ そのころ 生まれていなかったので だから 大丈夫でした。」
みづえ「そう。」
恵達「はい。」
みづえ「ウフフフフ…。」
ゆがふ
兼城「弟も来た?」
恵里「はい 来ちゃいました。」
兼城「今日は 何してるって?」
恵里「なんか 楽器店とか レコード店とか 行きたい所いっぱいあるみたいで。」
兼城「そうねぇ 今度 連れておいでね。」
恵里「はい。」
兼城「いや でも 悪いねぇ 恵里ちゃん。」
恵里「いえ とんでもないです。 店の大事なお金 なくしたから 私。」
(戸が開く)
恵里「あ…。」
黒島「どうも…。」
恵里「どうも…。」
兼城「あ この間の…。 また 営業前だね きみは。」
黒島「あの すみません。」
兼城「あ?」
黒島「ごめんなさい ホントにごめんなさい。」
兼城「何を そんなに『ごめんなさい』してるわけ?」
黒島「あの… あの… まだ 開店前なのに ごめんなさい。」
兼城「そういうことか…。」
恵里「あ そんなの 全然 気にしなくて いいですよ 営業時間なんて あって ないようなもんですから。」
黒島「ありがとうございます。」
恵里「じゃ 今日は 私のおばぁ直伝の イリチーチャーハン どうですか? 食べてみます?」
黒島「イリチーチャーハン? 食べたいねぇ。」
恵里「チョット 待ってて下さいね。」
黒島「ごちそうさまでした。 おいしかったです。 本当に おいしかったです。」
恵里は 妙な気持ちを 感じていました。 この人の笑顔を見て 何か つかめたような気がしたのです
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