東京
ゆがふ
店内
恵里「すみませんでした。」
容子「ううん 私たちは 帰ろう。 ホラ。」
柴田「ああ はい。」
容子「ホラ。 じゃあね 恵里ちゃん 今日の夜 真理亜ルームでね。」
恵里「あ はい。」
柴田「あの 気を落とさないようにね。 きっと 大丈夫ですから…。」
容子「あ いいから 行くわよ ホラ」
柴田「すみません。 また 来ます。」
店前
容子「ホント 正直な子よねぇ。」
柴田「あの…。」
容子「何?」
柴田「大丈夫ですかねえ 僕に できる事は なんか…。」
容子「ないでしょ。」
柴田「あ… そうですね。」
容子「うん 行こう。」
柴田「あ はい。」
店内
恵里「店長。」
兼城「恵里ちゃん ありがとうね。」
恵里「え?」
兼城「ありがとう。 苦しめてしまったね。 でも これからも 夜は 手伝ってよ。」
恵里「いいんですか?」
兼城「もちろんさぁ。」
恵里「ありがとうございます。 私 頑張ります。」
恵尚「(泣き声)」
恵里「何で? 兄い兄い。」
兼城「どうした?」
恵尚「俺はよ 感動したんだ 感動!」
兼城「はぁ?」
恵里「何が?」
恵尚「世の中には こんなバカも いるんだねぇ。」
恵里「は? バカ?」
恵尚「バカさ 大バカさ 2人とも。 確かに 世界進出は 大げさだったかも しれないけどさ 少なくとも もうけることは できる状況だったんだよ。 それを 『やめる』って言いだすのも バカだしさ それに『ありがとう』とか 言ってるのもバカさ。」
兼城「そうかも わからん。」
恵尚「バカには つきあいきれん。 もうけるつもりも ない人に 経営コンサルタントは 必要ないしね。」
兼城「ごめんねぇ。」
恵里「兄い兄い?」
恵尚「より! 俺は また 旅にでも 出ようかねぇ。」
恵里「え?! だって せっかく 来てくれたのに…。」
恵尚「もうけのない所に 用はないさ。 よし 行くか。」
恵里「兄い兄い。」
恵尚「恵里。 お前は 商売には 向いてないねぇ バカだから…。 ほかの道を 探しなさいねぇ。 じゃ 元気でね。」
兼城「ありがとうねぇ。」
店前
恵里「兄い兄い。」
恵尚「何だ? どうした?」
恵里「これ…。」
恵尚「バカタレ! そんなもん 受け取れる訳が ないだろ 妹から。 あ ひっこめるの?」
恵里「え?」
恵尚「いや せっかくだから チョット 借りておこうかね。 ハハハハハ。」
恵里「元気でね また 来てよ。」
恵尚「おう 皆に よろしくね。」
恵里「うん ありがとう。 ホントにごめんね。」
恵尚「まったく…。」