一風館
マンデリン
恵文「ああ 帰りたくないなあ。」
勝子「また そういう。 子供じゃないんだから 文ちゃん。」
恵文「分かってるけど…。 何だか 足が痛い 痛い 痛い。」
勝子「え? どうしたの?」
恵文「これは あれだね 入院した方が…。 そうしようかね。」
勝子「は?」
恵達「姉え姉えのところは 内科だよ。」
恵文「え? あ そうか。 ああ 胸が苦しい。 入院した方が よくないかね。」
勝子「まったく…。」
この バカチンが!
恵文「ん? 誰 今 バカチンと言ったのは…。」
勝子「誰も 言ってないよ。」
恵文「そうかねぇ。」
恵達「でも お父さん あれでよかった?」
恵文「何が?」
恵達「いや 姉え姉えのこと 励ましてた。 早く結婚してほしいわけ?」
恵文「何 言ってる…。 いや でもさ 確かに 早く結婚したら 寂しいから ゆっくりの方が いいけど…。 落ち込んでいる恵里を見たら そうしてしまうでしょう?」
勝子「そうだね。」
恵達「ま いいんだけどさ でも 知らないよ メチャクチャ 元気になってたからね あっという間に 一人前さぁ。『お父さん 結婚するよ~』って 言うかもしれんねぇ。」
恵文「は… あっという間? いや 参ったなあ。」
2人は いつになったら 結婚できるのかねぇ 恵里は 一生懸命 看護をしました。 太陽のような笑顔を忘れずに。 もちろん 田所さんという患者さんにも…
北栄総合病院
恵里「顔色が よくなってきましたね。 ああ いい天気ですねぇ。 小浜を思い出すなあ。 私 小浜島という所の出身です…。」
恵里「結果がよかったら 退院ですねぇ。 これが 最後の採血になると いいですね。 じゃ また後で 伺いますね。」
ナースステーション
恵里「あら? 田所さん…。」
田所「じゃ…。」
恵里の思いは やっぱり 届かなかったねぇ
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