ゆがふ
一同「乾杯!」
容子「おめでとう 恵達君。」
恵達「どうも ありがとうございます。」
兼城「おめでとう。」
恵達「あ どうも。」
恵里「頑張らないといけないよ 恵達。」
恵達「分かってます。」
容子「あ 恵里ちゃんに渡すもの あるんでしょ?」
真理亜「いいのよ。」
容子「早く しなさいよ。 分かったわよ。」
真理亜「分かったわよ。 …これ。」
恵里「え? 何ですか?」
真理亜「本の見本が 出来たからさ。 あんたに あげる。」
恵里「え? 本当ですか? ありがとうございます!」
恵文「あ~。」
恵里「うわぁ~!」
恵達「あ これ 姉え姉え?」
恵里「そうさぁ!」
恵達「こんな かわいくないさぁ。」
恵里「何か それは。 あ これ 文也君だ。」
恵達「何となく 似てるね。 俺は ないのかな?」
真理亜「あ ごめん 弟の設定は やめたの。」
恵達「あ なんか 寂しいな それ。」
真理亜「ごめんね。」
恵達「いや 別に いいですけどね。」
恵文「俺は どれかね?」
勝子「私は どれかね? どれ?」
真理亜「いや 別に モデルにしたってだけで そのまま書いてる訳じゃないんで。」
恵文「ああ そうなのか。」
勝子「そうなんだ。」
真理亜「すみません。」
恵文「いや…。」
恵里「うわぁ でも うれしいなぁ。 真理亜さん ありがとうございます 大切にします。 あ そうだ。 サインして下さい。 サイン お願いします。」
真理亜「いいわよ そんなの。」
容子「してあげなさいよ。」
真理亜「だって 書くもん ない…。」
兼城「はい あります。」
恵里「ありがとうございます。 ん?『宇宙人』?」
恵達「なるほど。」
恵里「ん?」
真理亜「あのさ こうやって 作っちゃったから 結末 裏切らないでよね。 とっとと 一人前になってさ ハッピーエンドにしなさいよ。 じゃないと 詐欺だからね。」
恵里「え? …あ はい ありがとうございます。 頑張ります。」
容子「いいとこあるよねえ。 まるで お姉さんだねぇ。」
真理亜「は?」
恵里「はい。」
真理亜「『はい』じゃないわよ。 冗談じゃないわよ。」
恵文「さあ 今日は飲もうね。 店長のおごりやさ!」
そうそう 恵里 その顔さ 太陽(てぃだ)のような笑顔だねぇ
北栄総合病院
ナースステーション
聡子「そろそろ 来るころね。」
奈々子「大丈夫ですかね 相当 落ち込んでたけど。」
祥子「無理もないですよ。 あんなこと言われたら。」
聡子「まあねぇ 私も あったなぁ。 病院に来るの 嫌になっちゃって。」
奈々子「そうでしたよねぇ。」
聡子「でもさ あの子のことだから また『おはようございます! 今日も一日 頑張りましょうね!』とか 言ってくるかも…。」
奈々子「いくらなんでも…。」
祥子「分かりませんよ 普通とは違う…。」
奈々子「そうかな。」
恵里「おはようございます! おはようございます! 今日も一日 頑張りましょうね!」
(3人のため息)
恵里「ああ 頭 痛い…。」
聡子「え?」
祥子「何? どうしたの?」
恵里「二日酔い。 昨日 泡盛 飲みすぎてしまってさ。」
奈々子「あ 分かった やけ酒。 やけ酒飲んで サッパリしたんだ?」
祥子「そうなの?」
恵里「『やけ酒』? いえ お祝いで なんか 昨日は いいことが 2つもあって。」
(3人のため息)