連続テレビ小説「あまちゃん」100回「おら、悲しみがとまらねぇ」

ヒロシ「会えてよかった。 正月は ゆっくり話せなかったもんね。」

アキ「ああ はい。 ユイちゃんは 変わりねえですか?」

ヒロシ「変わりないっていうか 変わってからは 変わりないよ。」

アキ「お母さんから連絡は?」

ヒロシ「ないけど そのうち 帰ってくるんじゃないかな。 待つしかないよ ユイも親父も俺も。 だから その件は話さないんだ。 暗黙の了解で。 アキちゃんは 東京来ても ちっとも変わらないね。」

アキ「そうがな?」

ヒロシ「うん。 あの寮の雰囲気なんて 昔の漁協みたいだよ。」

アキ「んだべ? そう思うべ?」

ヒロシ「うん。」

アキ「みんなが勝手にしゃべって 勝手に笑って 海女クラブみだいで おもしれえんだ。 水口さんは 勉さんみたいだし。」

ヒロシ「フフ!」

アキ「安部ちゃんも いつの間にか入り浸って 毎日のように 御飯作ってくれるし。」

ヒロシ「アキちゃんが いるからだよ。」

アキ「え?」

ヒロシ「アキちゃんがいる場所は ほかの場所と違って ちょっと 温度が高くて 明るいんだよ。 アキちゃんの おかげだよ。」

アキ「おいおい よせやい! 人を まるで ストーブみでえに。」

ヒロシ「ホントだって。 場所じゃなくて 人なんだよ 結局。」

アキ「『場所じゃなくて人』か…。 いい事 言うな。」

ヒロシ「前に 春子さんに 言われたんだけどね。」

アキ「ママが?」

回想

春子「田舎が嫌で 飛び出した奴って 東京行っても駄目よね。 逆にさ 田舎が好きな人っていうのは 東京に行ったら行ったで 案外 うまくやっていけるのよ きっと。 結局 場所じゃなくて 人なんじゃないかなって思う 最近。」

回想終了

アキ「確かに場所じゃねえ。 自分をしっかり持ってれば どこさ居ても 大丈夫なんだ。 奈落だろうが アメ女だろうが。」

甲斐「アメ女?」

アキ「え?」

甲斐「お嬢ちゃん アメ横女学園の メンバーなの?」

アキ「ああ いや アメ女じゃなくて その妹分の…。」

甲斐「GMT?」

アキ「じぇじぇ! 知ってんの?」

甲斐「ああ 熱いよね 今 GMT! 有馬めぐがいるでしょ? あと 小野寺ちゃん? 彼女熱いよね。 なまってて。 ブログも なまってるよね。」

ヒロシ「やけに詳しいですね?」

甲斐「そりゃそうだよ。 アイドルオタク歴40年だよ~!『じぇじぇ』? 何か聞いた事あるぞ。 すっごい昔に。『じぇじぇ』?」

アキ「多分 母です! 昔 ここで バイトしていた事が…。」

甲斐「まあいいや 太巻っているじゃん。 あのプロデューサーの 荒巻太一。 あいつね 若い頃 よく ここに来てたんだよ。」

アキ「知ってます。」

甲斐「え?」

アキ「天野春子の娘なんで 私。」

甲斐「じぇじぇ! 何? 春ちゃんの娘なの? おいおい おいおい! 早く言ってよ!」

アキ「言いました! 3回言いました!」

甲斐「あ そう!」

ヒロシ「そこは『じぇじぇ』でしょ。」

甲斐「そう そう そう。 春ちゃん ふだん なまってないのに びっくりした時だけ『じぇじぇ!』って言ってたんだよ。 懐かしい! そうかい。 GMTなんだ。 春ちゃん 娘に夢を託したんだな。 そっか そっか。」

回想

鈴鹿「自分の果たせなかった夢を 娘にかなえてほしいのよ お母さん。 頑張んなきゃねえ。」

回想終了

甲斐「あ…。(沸騰してるのに気づく)」

ヒロシ「アキちゃん?」

アキ「何でもねえ。」

<そして ストーブさんは 北三陸へ帰っていきました>

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