畑野トンネル
大吉「皆さん あの… ご存じのとおり 北鉄は ディーゼル車ですから 停電はしません。 燃料も たっぷり積んであります。 暖房もあるし トイレもあるし…。」
「腹減ったよ~。」
「僕も 腹減った。」
鈴木「大吉っつぁん おら ゆべし持ってるど。 はい。」
大吉「ゆべしも ありま~す。 はい どうぞ。」
「すいません ありがとうございます。 どうも ありがとうございます。」
鈴木「は~い はい。」
<救助は来ない。 いつまで待っても 埒は明かない。 ついに 大吉さんは決断しました>
大吉「乗客の皆さん あの… ちょっと トンネルの外の状況 見てきます。 ご心配ねぐ 安全が確認でぎでから 皆さん 誘導しますんで そのまま… あの すぐ戻ってきますから。 お待ち下さい。」
<そう言って 大吉さんは ドアを開け 外へ出ました>
大吉「こっちが近(ちけ)えか。」
<その小さな 弱々しい光を頼りに 大吉さんは歩き始めました>
大吉♬『ズンズンチャッチャラ チャッチャ ズンズンチャッチャラ チャッチャ ズンズンチャッチャラ チャッチャ (Ghostbusters) ズンズンチャッチャラ チャッチャ ズンズンチャッチャラ チャッチャ ズンズンチャッチャラ チャッチャ (Ghostbusters)』
大吉「見るな…。 ユイちゃん 見ては駄目だ。」
ユイ「ごめん…。 もう遅い。」
<そこで 2人が見た光景は 言葉にできるものでは ありませんでした>
<ただ一つ 言えるのは あの時 ブレーキをかけなければ 2人は その光景を見る事すら かなわなかったという事。 もう一台も 高台に停車したため 津波の被害を逃れました。 それは後に 奇跡の車両と呼ばれ 復興のシンボルになったそうです>
東京EDOシアター
会議室
電話『おかけになった方面への通話は 大変込み合っているため かかりにくくなっています』。
「歩いてきたの?」
「もう 全部 止まっちゃって…。」
河島「小野寺… 小野寺 多いな。」
<夜になっても 母親の安否が確認できない 小野寺ちゃんのために 河島さんや 水口さん 太巻さんまで 会社に残っていました>