天野家
弥生「随分 小せえな。」
かつ枝「ホントに テレビか?」
池田「最近は もう このサイズですよ。」
美寿々「あんた 一人?」
池田「ええ。 …っていうか 皆さん ふだんどおりが よかったんですけど。」
花巻「ふだんどおりだべ。」
池田「いや メークが…。」
弥生「ふだんどおりだよな。」
かつ枝「んだ。 ふだんより 薄いぐれえだ。」
池田「じゃあ あの… カメラ回していきますんで ふだんどおり作業して下さい。 よ~い スタート。 カット! すいません あの… ふだんどおりで。 リラックスして お願いします。 お願いしますよ いいですか? いきますよ。 よ~い スタート。」
池田「いや カット カット! あの… ふだんどおりです。」
テレビ
福田萌「5時だべ! わんこチャンネル。」
吉田「ま… 間もなく ミス北鉄のユイちゃんと 海女のアキちゃんを乗せた列車が 到着しま~す!」
(歓声)
ナレーション「ご覧ください! この人気! 2人が ウニ丼を車内販売を始めてから 売り上げが 5倍に伸びたそうです」
ユイ「ウニ丼 いかがですか~?」
ナレーション「アキちゃんの おばあちゃんで ウニ丼の生みの親でもある 夏ばっぱこと 天野 夏さんに お話を伺ってきました」
夏「天野 夏でがす。」
忠兵衛「天野 忠兵衛でがす。」
漁協
かつ枝「お~ 出てきた! 色男!」
忠兵衛「黙って聞げ! 色男しゃべっから!」
忠兵衛『はい。 北三陸はですね リアス式海岸の優れた漁場で 海の幸に恵まれて…。』
長内「色男 目が泳いどる!」
(笑い声)
忠兵衛『えっ? 質問なんでしたっけ?』
(笑い声)
かつ枝「何だべ これ~!」
忠兵衛『ああ! それは かあちゃんさ聞いて下さい。』
夏『まんず 最初は… やがましい わらしが 来たと思いました。 【海女さんになりでえ】なんて 今どき 珍しい娘っ子で 何べんも流されて 溺れで それでも諦めなかったのは 立派だと思いました。』