連続テレビ小説「あまちゃん」62回「おら、アイドルになりてぇ!」

足立家
ユイの部屋

(ノック)

よしえ「ユイ? アキちゃん来てるよ。 ユイちゃん 顔ぐらい見せてあげなよ。 ねえ?」

リビング

(ドアが開く音)

よしえ「ごめんね。 わざわざ来てくれたのに…。」

アキ「いやいや 特に用事があった訳じゃないし。」

よしえ「あっ 御飯 食べていかない?」

アキ「え?」

よしえ「おとうさん 今日 人間ドックで泊まりなの。 ヒロシも帰ってこないし ユイも…。 お願い 1人で食べても おいしくないから。 ねっ?」

夕食

アキ「『ママみたいに なりたくない』って…。」

よしえ「言われたの ユイに。」

回想

ユイ「こんな田舎で こんな山奥で だっさいポロシャツ着て 残念なエプロンして シチュー作って そんなふうに なりたくないって 言ってんの!」

回想終了

アキ「どういう意味ですか?」

よしえ「さあ…。 勘違いしてるの あの子 勝手に。 私が結婚と同時に いやいや 田舎に引っ込んだって。」

アキ「違うんですか?」

よしえ「全然。 アナウンサーだって なりたくてなった訳じゃないし。 短大出て たまたま 内定もらえたのが 岩手のテレビ局だったたけ。」

アキ「へえ~。」

よしえ「むしろ 都会で育ったから ずっと 田舎に憧れてたの。」

アキ「おらと一緒だ。」

よしえ「あっ そうだね。」

アキ「だから 正直 分がんねえ。 ユイちゃんが 何で そこまで 東京さ こだわるのか。」

よしえ「知らないからね。 行けば 分かると思うの。 あの子が思うような 夢の国じゃないって。 だから 反対しないの。 行って 挫折したら 帰ってくればいいし 夢が かなうんだったら 追いかければいいし。 私は ただ 帰ってきた子どもたちを 温かく迎えてあげたいなって 思うだけ。 おいしい御飯と笑顔で。」

<『いい お母さんだ』。 アキは 心底 そう思いました。 柔らかくて 温かくて 間違っても『バカ』とか『ブス』とか言わない 優しい お母さん>

よしえ「あら。」

アキ「ユイちゃん…。」

ユイ「上 行こう。」

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