連続テレビ小説「あまちゃん」63回「おら、アイドルになりてぇ!」

喫茶・リアス

吉田「あ~ やっぱり 春子さん 泣いちゃった?」

アキ「はい。 泣いでた。 涙 ポロポロ流してた。」

大吉「あの 北の冷血女と呼ばれた 春ちゃんが!?」

菅原「速い車さ乗っけられでも 急に スピンかけられでも 泣かなかった春子さんが!?」

吉田「泣ぐよね『潮騒のメモリー』見だら。」

大吉「泣ぐ泣ぐ 泣ぐに決まってる。」

菅原「俺らの世代は みんな泣く。」

ヒロシ「吉田さんが貸した ビデオなんでしょ?」

吉田「そう。 随分前に テレビで放送したやつ。」

<『潮騒のメモリー』は 1986年の制作された青春映画。 今や 実力派女優として知られる 鈴鹿ひろ美のデビュー作です>

アキ「ねえねえ 吉田さん どんな映画?」

吉田「それ 俺に聞いちゃう?」

<残念ながら 著作権の関係で 映像を お見せする事は できません。 代わりに アニメーションと 副駅長 吉田さんの たどたどしい解説で お楽しみ下さい>

吉田「舞台は… 新潟だか 鳥取だかに浮かぶ 架空の島 鈴鹿島。」

吉田『貧しい漁村の りょ… 漁師かか 工員だかの娘として生まれた 少女 ひろみは もっと貧しい村の青年 新一だか 新吉だかと出会います。 ひろみ 17歳だか 18歳の夏でした。』

アキ「のっけから イライラするなあ!」

吉田「こんなもんでしょう!? いきなり説明しろって 言われたらさ!」

大吉「新潟と鳥取は だいぶ違うど。」

勉「正しくは 松島だね。」

菅原「宮城じゃねえかよ。」

吉田「本当か? 勉さん。 間違いねえか それ。 ファイナル勉さんか?」

勉「うん。 確か ひろみの母ちゃんが 海女さんなんだ。」

吉田「んだ!」

吉田『ひろみの母 律子は 海女でした。 夫の先立たれ 女手一つで ひろみを育てた 律子の夢 それは 由緒正しき 本土の名家 合田財閥に ひろみを嫁がせる事。』

大吉「いいぞ 吉田。 その調子だ!」

律子『いけないよ ひろみ。 お前は 合田様の お嫁さんになるんだ!』。

ひろみ『いや 私は 新一さんだか 新吉さんだかが好きなの!』。

菅原「もう どっちかに決めて。」

ひろみ「新吉さんも きっと 私と同じ気持ちよ!』。

大吉「んだ んだ んだ んだ それで 例の名場面『その火を飛び越えてこい!』に なる訳だな。」

吉田「う~ん…。」

大吉「えっ 違うの?」

勉「その前に 新助さんが熱病にかかるんだ。」

菅原「新助じゃねえかよ!」

吉田「間違いねえか? ファイナル勉さん?」

勉「ファイナル勉さん。 でもって 熱病の新助を ひろみが背負って 本土の病院に 連れていこうとして…。」

吉田「船が難破するんだ!」

菅原「アキちゃん 大丈夫か? ここまでは ついてきてるか?」

アキ「うん なんとか!」

大吉「さあ きた きた! 無人島に流れ着いたら ひろみと新助は…!」

吉田「んだ!」

大吉「たき火を挟んで!」

吉田「んだ んだ!」

大吉「『新助 その火を飛び越えてこい!』。」

吉田「う~ん…。」

大吉「な… 何だよ。 何で そこで テンション下がっちゃうんだよ。」

吉田「そんな場面は ないからです。」

大吉「ない!?」

菅原「ないって どういう事よ?」

吉田「二十数年ぶりに見返して 何が びっくりしたって たき火を飛び越える場面が なかったんです。」

2人「じぇじぇじぇ!」

アキ「ないの!?」

吉田「ないんです。」

アキ「ファイナル勉さん?」

勉「ファイナル勉さん。 おめえら みんな 三島由紀夫の『潮騒』と 記憶が ごっちゃになってんだな。」

大吉「いや いや いや いや…。 だって 歌の歌詞は『来てよ その火を 飛び越えて』だべ。」

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