吉田「一応 飛び越えるシーンは あるには あるんだけど…。」
菅原「何を飛び越えるの?」
ひろみ『飛び越えてこい!』。
新助『うう…』。
ひろみ『新助 私が好きなら その蛇を飛び越えてこい!』。
アキ「蛇!?」
大吉 菅原「じぇじぇじぇ!」
吉田「蛇なんです。」
大吉「蛇か~!」
菅原「何か 盛り上がりに欠けるね。」
吉田「監督も そう思ったんでしょうね。 クライマックスに取って付けたように…。」
ひろみ『新助 その火を飛び越えてこい!』。
新助『無理だ!』。
アキ「泣げる映画なんですよね。」
吉田「泣げる。 見れば 間違いなく泣げる。」
アキ「ホントがなあ?」
吉田「こんなもんですよ。 1980年代のアイドル映画なんて!」
アキ「とりあえず帰って 見でみます。」
<映画『潮騒のメモリー』は 荒唐無稽なストーリーと 斬新な演出が話題となり 大ヒットを記録し 鈴鹿ひろ美は その年の名だたる映画賞を 総なめにしました。 特に ラストシーン。 荒れ狂う 海と夕日を背に立つ ひろみの姿は 大型新人の誕生を 予感させる名場面で…>
天野家
アキ「(泣き声)」
夏「ただいま~! 御飯にすっぺ。」
(アキの泣き声)
夏「アキ どうした? 具合でも悪いのか?」
アキ「夏ばっぱ…。 おら 映画女優になりでえ!」
夏「何!?」
アキ「この人みでえに なりでえ!」
夏「水野明郎か?」
アキ「違う! この人だ!」
夏「鈴鹿ひろ美か?」
海女カフェ
アキ「んだ んだ。 すげえんだ。 ホントに泣けるんだってば!」
花巻「分がった 分がった。」
アキ「かっこいいんだって! 女優って すげえよな。 やっぱり こう… あの~。」
弥生「オーラか?」
アキ「オーラが違うべ。」
花巻「あれれ 弥生さん 今日は ボケねえのか?」
弥生「まあな。 黒酢飲んでっからな。」
長内「アハハハッ!」
花巻「黒酢って頭にも効くんだな。」
弥生「サプリメントを 毎朝飲んでっからな! ビタミン アミノ酸 グル… グル… グル… グルグル グルグル…! ドッカ~ン!」
花巻「自爆だ!」
長内アハハハハッ!」
ヒロシ「アキちゃん 例のもの 持ってきたけど。」
ヒロシ「せ~の よいしょ!」
アキ「オーライ オーライ!」
美寿々「夏ばっぱ また アキが おかしな事 始めたど!」
夏「え~?」
美寿々「ほら!」
夏「じぇじぇ! アキ どうしたんだ? こんな でけえもん持ち込んで!」
アキ「もっと もっと奥! もっと奥。」
長内「あ~!」
花巻「ベンチさ当たるな! これは もう 真ん中で割るしかねえな。」