連続テレビ小説「あまちゃん」64回「おら、アイドルになりてぇ!」

スナック・梨明日

功「キャンプ場で食う カレーみたいなものだと思うんだ。」

大吉「先生。」

菅原「え 何ですか? いきなり。」

功「わざわざ… キャンプ場に行って 火をおこして 釜でご飯炊いて みんなで協力して カレーを作る その行為に興奮する訳だよ。 苦労して作ったから うまい。 ユイも そんな感じだと思うんだ。」

吉田「え? 何 何の話ですか?」

菅原「いや だから わざわざ ローカル線さ 乗って 北三陸まで行って ただの 女子高生のために お金を使う行為に 興奮してるって事ですよね?」

功「そのとおり! さえてるな菅原 殴るぞ!」

(笑い声)

功「だからさ 東京行っちゃ 駄目なんだよ。 キャンプ場のカレーは キャンプ場で 食わなきゃ駄目なんだよ。 うん。」

吉田「会いに行がなきゃ 会えないアイドルだな。」

大吉「春ちゃんは どう思う?」

春子「どうって 何が?」

大吉「いや ユイちゃんだよ。 東京に 行かせるべきか 引き止めるべきか。」

春子「本音 言ってもいい?」

大吉「もちろんだ。」

春子「どうでもいいって いうか 関わりたくない。」

功「天野!」

春子「だって アキも私も やっと こっちで 暮らすって覚悟ができたんだよ。 それなのに 東京東京ってさ トランク ゴロゴロ 引きずってさ。 血眼になって止めようとしてる あんたたちも どうかしてるよ! いつまで ユイちゃんに頼ってんの? 行きたきゃ 行かしてやりゃいいじゃん! ていうのが 本音かな。 ごめんね。」

一同「はあ~。」

春子「ヘヘヘ!」

功「『去る者は 追わず』か。」

春子「え?」

<『去る者は 追わず』それは ほかならぬ母 夏の口癖。 まさか無意識に 自分の口から出るとは。 母の遺伝子を 自分が受け継いでいる事に 改めて戸惑う 春子でした>

天野家

<そして夜になると アキは 毎晩遅くまで『潮騒のメモリー』を見ていました。 繰り返し繰り返し。 昭和のアイドル映画が こんなにも アキを夢中にさせるとは 主演女優 やはり 鈴鹿ひろ美の 存在感でしょうか>

アキ『新助 その火を飛び越えてこい!』。

<著作権の関係で お見せできないのが残念です>

アキ「(泣き声)」

春子「アキ…。 アキ?」

喫茶・リアス

吉田「え? いいんですか。」

春子「うん。 うちにあると ついつい 見ちゃうからさ。 ありがとうね。」

大吉「じゃ 次借りていいか?」

吉田「いいけど 駅長んどこ確か ベータでしたよね?」

大吉「バカ言うな この! 20年前に VHSに買い替えたっつの!」

菅原「20年前って おらだけ今年から ハードディスクレコーダーだ。」

大吉「ハ… ハード?」

吉田「つうか勉さん何だい? それ。」

勉「あ これ? 携帯。」

吉田「え?」

一同「また また また また!」

<2009年夏 まだスマートフォンが 珍しかった時代 勉さんは 北三陸で一番最初に スマートフォンを買った男として 一目置かれ『スマート勉』と 呼ばれるようになります>

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