川俣銀行
菊池「どうしたの?」
鈴木「突然 返信がなくなったらしい。
落合「女心と秋の空。」
松坂「あっ 今 夏ですけど。 うわっ…。」
机をたたく裕一
菊池「わっ!」
裕一「て て… 手紙が… 手紙が来ない理由は何ですか?」
鈴木「いや… それは…。」
裕一「ああ~! 嫌われたんだ~! もう生きていけない~!」
松坂「まずいですって! なんとかして下さい。」
菊池「え~ でも それしか考えらんないわ。」
裕一「ああ~!」
落合「古山君 気落ちすんのは まだ早え。」
落合「親だよ。 親が 君の恋路を邪魔してんだ。」
鈴木「あ~ なるほど! 見ず知らずの男からの手紙を 親が勝手に取り上げることなんて よく あっことだから。」
裕一「じゃあ じゃあ じゃあ じゃあ… ど ど… どうすれば?」
菊池「女なら警戒されないわ。」
一同「おお~!」
菊池「ははははは!」
関内家
光子「こんにちは。」
郵便屋「こんにちは 郵便です。 はい どうぞ。」
光子「ご苦労さまです。 裕… 子!? 子…? う~ん 追い詰められとるわね~。」
音の部屋
光子「読んであげて。」
音「読んだの?」
逃げるように去る光子w
裕一「あなたからの便りが途絶えて 曲が全く書けなくなってしまいました。」
裕一「もう 僕は あなたなしでは 音楽を 作れなくなったのかもしれません。 せめて お写真だけでも お送りいただけませんでしょうか?」
裕一「それを胸に勉学に励みます。 どうか 私の最後の願いをかなえて下さい。 裕一より。」
喜多一
三郎「駄目だ! 金貸しなんて下賤なことできねえ。」
浩二「もう呉服の時代じゃねえ。町 見てみろよ。 洋服の人が増えてんだろ。」
三郎「だから 機械製糸も扱ってんじゃねえか。」
浩二「だから その時代も終わりだって。 何か新しいこと しねえと 喜多一は潰れる!」
三郎「うぢは喜多一呉服屋だ! 喜多一商店じゃねえ。」
浩二「何なんだよ… 何が気に入らねえんだよ! なあ ちゃんと話してくれよ。」
三郎「さっきから言ってんじゃねえか。 うぢは呉服屋だ!」
浩二「俺 親父に聞きたいことあんだ。」
三郎「散々聞いただろうよ。」
浩二「もし茂兵衛さんが留学認めず それでも兄さんが良ぐって言ってたら どうしてた?」
三郎「『もし』なんて話し 意味がねえ。」
浩二「もし 兄さんが無理やり留学したら 喜多一への融資は止められて うちは潰れてたんだよ。 それでも行くこと許したか? 答えてよ!」
三郎「金貸し以外の商売 持ってこ。 人が喜ぶ仕事 持ってこ。 それなら考える。」
浩二「何なんだよ… 借りた金で生き長らえてるくせに。」
一方裕一は藤堂に菊池を紹介している…のか?w
菊池「お休みの日は何を?」
藤堂「専ら レコード鑑賞です。」
菊池「あ~! 何をお聴きになりますの?」
藤堂「シェスタコビッチやストラヴィンスキーなどですかね。」
菊池「ス… ストラ」
裕一「ストラヴィンスキー。」
菊池「あっ… へえ~! へえ~!」
裕一「あっ 晶子さんは 離婚歴3ですけど もう このとおり 元気で明るくて 職場も楽しくしてくれる方なんです。」
菊池「あっ 裕一君 ありがとう。 離婚歴3は言わなくていいのよ。」
裕一「どうせ バレることですから。」
菊池「アハハ 失礼します。」
菊池「恋愛はね 第一印象が全てなの。 人はね 会って3分間で ありか なしか決めんの。 だから ちっと黙ってて。いい?」
裕一「はい。」
菊池「はい… うん… 笑ってに。 はいはい… フフフフ…。」
裕一「ハハハハ(棒読み)」
落合「古山君 古山君。 来たよ 来たよ 手紙!」
裕一「あ… ありがとうございます。」
藤堂「どうしたの?」
菊池「恋焦がれてる 文通相手からの手紙なんです。 最近 送っても送っても 返事が来なくて。」
音「ご留学の件 おめでとうございます。 作曲は順調ですか? お手紙を返さなかった理由は 私が あなたの勉学の足かせになるのが 嫌だからです。」
音「私とあなたは 今立っている位置が違います。 私は 歌を習う 1人の田舎者にすぎません。 あなたは 世界的な音楽アカデミーから 招待を受ける ただ1人の日本人です。」
音「どうか 私のことは忘れ 作曲にいそしんで下さい。 いつか あなたのコンチェルトを 聴けることを願っています。 さようなら。」
裕一「支店長… しばらく休みを下さい。」
落合「いいよ 心の傷は癒しなさい。」
裕一「彼女に会いに行きます!」
菊池「へっ!? 振られたのよ。 完全に振られてるわよ。」
裕一「分かってます! 分かったけど… このままじゃ駄目なんです。 僕は前に進めない。 答えを探しに… 会いに行きます!」
落合「あっ…。」
菊池「あっ ちょっと…!」
藤堂「まだ文通… だけですよね?」
菊池「のぼせ上がってんです。」
裕一の想いは音に届くのか それはまた 次回のお話し。
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