コロンブスレコード
最終オーディション当日。
「なかなか いいのがいませんな。」
「う~ん…。」
裕一と藤丸が見守る中 厳しい審査が続いていました。
「彼が 例の会長の…。」
「帝都ラジオの?」
「ええ。」
寅田「寅田熊次郎です。 どうぞ よろしくお願いします。」
寅田「♬『花咲き花散る宵も 銀座の柳の下で 待つは君ひとり 君ひとり 逢えば行く』」
藤丸「すてき。」
寅田「♬『喫茶店 楽し都 恋の都 夢の楽園よ 花の東京』。」
「岡島さんどうぞ。」
岡島「♬『汽笛の一声 新橋を はやわが汽車は離れたり 愛宕の山に入り残る」
藤丸「あの方 駅員さんですって。」
裕一「えっ? うそだ。」
岡島「1番の乗り場から 急行列車が発車をいたします。 ご利用の方が お急ぎ下さい。 扉が閉まります。」
廿日市「おもしろの人なのか?」
岡島「出発進行~!」
杉山「顔に似合わず 声はいいですね。」
岡島「♬『右は高輪 泉岳寺 四七士の墓どころ 雪は消えても 消え残る 名は千載の 後までも』。」
「林さん どうぞ。」
林「73歳です。 皆様のおそばに置いてほしいんです。」
廿日市「73歳って… 23歳って書いてますよ。」
「23!?」
林「歌います。 聴いて下さい。」
林「♬「昔 恋しい銀座の柳」
「うまいじゃないですか。」
「いいねえ…。」
林「♬『ジャズで踊って リキュルで更けて あけりゃ ダンサーの涙雨』。 お粗末でした。」