連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第104話「悪魔くん復活」

(犬の遠吠え)

布美枝「あ…。」

茂「コーヒーいれてくれ。」

布美枝「お疲れさまです。 まだ仕事ですか?」

茂「朝まで ネームやらんといけん。」

布美枝「今日 いずみに『車は買わんのか』って 聞かれました。」

茂「うん 車なあ。」

布美枝「ここは 駅から遠いですけん。」

茂「うん まあ いらんだろう。 俺も お前も 運転できんのだし。」

布美枝「やっぱりね。 ねえ お父ちゃん。」

茂「ん?」

布美枝「倉田さんって お昼は いつも 日の丸弁当なの?」

茂「知らんなあ。 何 食っとるかまでは 監督しとらんけん。」

布美枝「実家に仕送りしとるんですよね。」

茂「ああ そげ言っとったな。」

布美枝「食費 切り詰めとるんだろうか?」

茂「倉田が どげした?」

布美枝「ああ いいえ。」

茂「あいつは いずれ 本物になるぞ 絵は うまいし 努力もしとる。 家に帰ってからも 毎日 漫画を描いとるようだけん あまり寝とらんじゃないのかなあ。

布美枝「そげですか…。」

茂「うん。 仕事場で 時々 ウトウトして。」

回想

倉田「あかん! 根性や!」

回想終了

布美枝「無理して 体 壊さんと ええですけどね。」

茂「うん まあ 若いけん 大丈夫だろ。 おい コーヒーは?」

布美枝「ああ すいません。 あ… そげだ!」

休憩室

3人「お~!」

倉田「うまそうやな!」

小峰「具が多いね。」

菅井「どうしたんすか? 急に。」

いずみ「姉が お昼ご飯は 皆さん いつも お弁当 持参だけん おみそ汁ぐらい だそうかって。 たくさん ありますけん お代わりして下さい。」

菅井「はい!」

小峰「おいしい。」

倉田「おおきに。 いただきます。」

いずみ「はい! あっ 菅井さんの あんパンには 合わんかもしれんけど。」

菅井「みそ汁 明日も出るかな?」

いずみ「出ると思いますよ。」

菅井「そしたら 俺も明日から クラさんの まねして 日の丸弁当にします。」

いずみ「アハハハ!」

菅井「みそ汁あれば おかずも いらないし。」

(セミの鳴き声)

台所

布美枝「あら! 砂糖が安い。」

倉田「あの… 奥さん。」

布美枝「あ…。」

倉田「ごちそうになりました。」

布美枝「置いとってくれたら 取りに行ったのに。 すんません。 あっ! お茶ですね? ちょっと 待ってて下さい。」

倉田「思い過ごしやったら すまんのですけど。」

布美枝「はい。」

倉田「さっき 先生にも 仕送りの事 聞かれたんで。 もし 僕に 気ぃ遣(つこ)うて みそ汁 作ってくれてはるんやったら そんなん もう ええですから。」

倉田「給料は ちゃんと頂いるし 実家へ仕送りは できる範囲で やってる事やから 気ぃ遣わんといて下さい。 生意気 言うようですけど 人の好意に甘えたら あかん 思うてるんです。 根性 据えてやらんと 漫画には なれませんから。」

布美枝「気に障ったのなら すいません。」

倉田「いや せやないですけど。」

布美枝「けど… ちょっと違うんです。」

倉田「え?」

布美枝「私 うちの人のために やっとるんです。 前は 時々 漫画の手伝いも しとったんですよ。」

倉田「はい 先生から聞きました。 奥さん 器用やて。」

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