連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第118話「妖怪いそがし」

台所

茂「自転車で走っとったら 捕まって 職務質問された。」

布美枝「まあ。」

茂「俺は漫画家だ。 ネームを考えとるんだと 幾ら話しても信用せんのだ。」

布美枝「まあ ひどいですね。」

茂「あげくに 下着泥棒の疑いまで かけられた。」

布美枝「下着泥棒?!」

茂「俺は やっとらんぞ!」

布美枝「ちゃんと分かっちょりますよ。」

茂「あんまり腹が立つけん 『家まで ついてこい』と言ってやったんだ。」

布美枝「大変でしたねえ。」

茂「まとまりかけたネームも ぐちゃぐちゃになったし… やり直しだな。」

布美枝「こんな時に 何ですけど… ちょっこし相談したい事があって。」

茂「何だ?」

布美枝「藍子が おかしな作文 書いたんです。」

茂「作文か。 まあ 下手なものは しかたない。」

布美枝「そげじゃなくて。 『この間の連休に 家族で高尾山に登った』って 書いてあったんです。」

茂「高尾山なんか登ったか?」

布美枝「行ってませんよ。」

茂「そげだよなあ。」

布美枝「おかしいでしょう?」

茂「う~ん…。」

布美枝「藍子は 『デパートに行った事よりも 登山の方が 面白いから』って 言うんだけど… 本当に そうなんでしょうかねえ?」

茂「子供は 話を作るもんだけんなあ。 俺も小学校の時 港で起きた 漁船の爆発事故をもとに 『第三丸の爆発』という 大長編の 作文を書いた事が あったぞ…。 あれは かなり脚色が 入っとったなあ アハハ!」

布美枝「お父ちゃんは 漫画家ですけん それで ええですけど。 先生も 『教育方針について 話し合って下さい』って 言っておられましたし…。」

茂「食べて寝て 健康第一。 それで 十分だ。」

布美枝「けど 藍子も難しい年頃ですけん。」

茂「ああ 分かった分かった。 とにかく 今夜は時間がないけん 話は後だ。」

布美枝「けど…。」

茂「そげに心配せんでも そのうち ちゃんとなるだろう。」

布美枝「はい…。 あれ? えっ! はあ 今 何かおったようだけど…。 (ため息) また今度 ゆっくり話そう…。」

<締め切り前の 仕事で頭がいっぱいの茂には 何の相談しても 無駄なようでした>

<そして 5月の末>

玄関

布美枝「はあ そろそろ来る頃かなあ。」

(クラクション)

布美枝「あっ!」

貴司「よう 姉ちゃん!」

布美枝「貴司! あんた よう来たね!」

<安来で ミシンの販売店を営む 弟の貴司が やってきました>

貴司「何もかも久しぶり!」

布美枝「ねえ フフッ!」

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