連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第137話「妖怪はどこへ消えた?」

茂の仕事部屋

布美枝「行かないんですか? はるこさんの学校。」

茂「そげだなあ。」

布美枝「遠足なんですけん 気楽に行ってきたら ええじゃないですか。」

茂「今の子供に こげな話をしても 伝わらんだろう。 昔は どこにでも 『河童』が 住んでいそうな川があったんだ。 だけん 『河童』の話が 怖くもあり 面白くもあった。 今はもう そげな川もないけん。」

布美枝「けど まだ 『河童』は 川の底に おるもかもしれませんよ。 誰かが呼びかけてくれるの 待っとるのかもしれん。 私 『河童』が住めないような 世界だったら 人間だって 住みづらいような 気がするんです。」

茂「え?」

布美枝「『川の底には 河童の国がある。 目には見えんけど どこかに 十万億土がある。 そげん思っとった方が ずっと 気持ちが楽しくなる』って 私 お父ちゃんに 教えてもらったんですけん。」

茂「うん。」

布美枝「はるこさんが言っとられました。 もう一つ 子供達に 伝えてほしいものがあるそうです。」

茂「うん 何だ?」

布美枝「お父ちゃんの漫画家魂。」

茂「漫画家魂か…。 忘れていたのは それかもしれんな。」

布美枝「え…。」

茂「漫画が受けるか 受けらんか 俺も点数レースに追われとったわ。 拍手の多い方に 顔を向けとるうちに 妖怪を見失ったのかもしれん。 この前 喜子も 同じ事 言っとったんだ。」

布美枝「え?」

茂「『妖怪の住めない世界は 人間も住みづらい』。」

布美枝「そげですか…。」

茂「喜子も苦労しとるようだ。 子供の住みづらい世の中では いけんな。」

布美枝「はい。」

子供部屋

藍子「よっちゃん 起きないと 集合時間に遅れるよ!」

喜子「あ~ もう 行きたくないな修学旅行。 休んじゃ ダメかな?」

藍子「そんな事 言ったら お母ちゃん達 心配するよ。」

喜子「うん。」

藍子「ねえ 頑張って行っておいでよ。」

喜子「うん…。」

布美枝「喜子 起きた? お父ちゃんが そこまで 一緒に行くかって 言っとるけど。」

藍子「え? 何で こんな早く起きてるの?」

布美枝「はるこさんの学校に行くんだって。 子供達と一緒に 川を探検するらしいよ。」

喜子「そうなんた。」

茂「お~い 俺は 先 行くぞ!」

布美枝「は~い! お父ちゃん 張り切っとるな。 ほら 喜子 あんたも ちょっとだけ 頑張ってみたら?」

喜子「あ~!」

布美枝「ほら さっさと起きる!」

喜子「お母ちゃん あ~!」

布美枝「ね!」

藍子「お父ちゃんも 頑張ってるってさ。」

喜子「うん。」

中庭

布美枝「お父ちゃんも 喜子も 何か見つかるとええね。」

一同「お~う!」

子供1「先生 うまいなあ!」

茂「ああ 子供の頃 田舎の川で よう 仲間と競争したもんだ。」

子供1「へえ~。」

茂「石を投げる時の 角度がコツだぞ。 見とれよ。 おっ!」

一同「(歓声)」

茂「やってみろ。」

子供1「ほれ!」

茂「田舎の川には 『河童』も住んどってな。」

子供2「『河童』? 嘘でしょう?」

子供3「そんなの迷信だよ。」

茂「いや 分からんぞ。 同級生には 『河童』に取りつかれたもんも おったからな。」

一同「本当?」

茂「ああ 本当だ。」

子供1「俺 ばあちゃんから 聞いた事あるよ。 いたずらした『河童』を 許してやったら すごくよく効くお薬 もらった話。」

茂「う~ん そら感心な『河童』だな。」

子供4「『河童』じゃないけど 角が生えた蛇の話なら おじいちゃんから聞いた事ある。」

茂「そうか? 怖かったか。」

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