連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第140話「人生は活動写真のように」

仕事部屋

(犬の鳴き声)

布美枝「まだ お仕事ですか?」

茂「ああ。 今度 このサイズで『河童の三平』が 出る事になったわ。」

布美枝「ああ… 随分 厚みがあるんですね。」

茂「編集の人が 子供の頃 『河童の三平』を好きで 読んどったそうだ。 これから 『悪魔くん』や『鬼太郎』も 続けて出すと言っとったぞ。」

布美枝「ええ お話ですね。」

茂「不思議なもんだなあ。 『鬼太郎』も『三平』も みんなが忘れた頃になって 本にしようという話が持ち上がる。」

布美枝「紙芝居の頃から数えると 『鬼太郎』も『河童の三平』も 30年は 続いとりますよ。」

茂「また少し 仕事の波が戻ってきたようだな。」

布美枝「はい。」

茂「子供達の手も 借りる事になるかもしれんなあ。」

布美枝「え?」

茂「藍子 そろそろ大学卒業だろう?」

布美枝「4年ですけん 来年には。」

茂「うん。」

茂「仕事が増えたら 光男1人で 会社を見るのは 大変だけん。 いずれは 藍子に 手伝ってもらうのが 一番ええわ。」

布美枝「そげですね。」

茂「上 どげなっとる?」

布美枝「ん?」

茂「イトツとイカルだ。」

布美枝「あ~… し~んとしとります。」

茂「は~ 冷戦状態か…。」

布美枝「いつもなら お父さんが折れて けんかにならんのに 今日は 珍しいですね。」

茂「うん。 まあ イカルの言い分も一理あるんだ。 男の子 3人育てるのは 大事だぞ。 けんかとなると 壮絶な取っ組み合いだけん。 襖は 吹っ飛ぶ 机は ひっくり返る。 しまいには イカルが 台所から包丁 持ち出して。」

布美枝「包丁ですか?!」

茂「ああ 畳にぐさっと 突き立て…。」

回想

絹代「ええ加減にしなさ~い!」

回想終了

布美枝「うわ~ 怖い!」

茂「それで けんかが収まる。」

布美枝「うちは 女の子でよかったですね。 ほんなら お茶いれてきます。」

茂「おう。」

子供部屋

喜子「それでさ お母ちゃんと 交番まで 引き取りに行った訳よ。 けんか騒ぎ起こした祖母を 孫が 引き取りに行くって 変だよね? お姉ちゃん 聞いてんの?」

藍子「よかったじゃない。 大した騒ぎにならなくて。」

喜子「ねえ 進路の希望 出せって 学校で 紙もらったんだけどさ。」

藍子「うん。」

喜子「急に将来の事 決めろって 言われても 何したいか 分からないし 勉強もできないから いい大学にも入れないし ねえ 何て書いたらいいかと思う? 人の話 聞いてんの?」

藍子「うるさいなあ。 自分の進路でしょ。 自分で考えなよ。」

喜子「冷たいな。 何してんの?」

藍子「勉強に決まってるでしょ!」

<さて それから 数日過ぎた ある日の事です>

玄関

布美枝「あ お父さん。」

修平「ん?」

布美枝「お手紙 来とりますよ。」

修平「私に?」

布美枝「はい。」

両親の部屋

レコード♬~『街の灯』

絹代「大きな音で レコードかけて 居眠りしとるんだけん。」

修平「わしは 眠っとらんぞ。」

絹代「あ! 起きとった!」

修平「考え事をしとったんだ。」

絹代「そげですか。 今日の買い物 どげしようかね? このお肉 大丈夫だらか? お父さん このお肉 どげですかね?」

修平「あ~! お前とおると 深遠なる考え事ができん。」

絹代「あ!」

修平「ハハハハ!  あ~あ。 よいしょ!」

絹代「どこ行くんですか?」

修平「お前の声の聞こえんとこだ。」

絹代「もう!」

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