連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第151話「ありがとう」

源兵衛の部屋

源兵衛「もう ええわ。」

布美枝「…はい。 こげして栄養つけて ゆっくりしたら すぐに よくな~ね。」

源兵衛「だけん 『わざわざ来んでもええ』と 言ったがの。 大げさに騒ぐ事はないが。」

布美枝「何 言っとるの。 私だって たまには帰ってきて お父さんの顔 見たいわ。」

源兵衛「春に また 調布に 行くつもりでおったわの。」

布美枝「子供達が言っとったよ。 『桜を見に来る約束だ』って。」

源兵衛「アッハ… 藍子は どげしとる? 学校の先生 しっかりやっとるか?」

布美枝「うん。 最初は苦労しとったけど 近頃は ちょっこし 自信もついてきたみたいだわ。」

源兵衛「そげか。」

布美枝「喜子は 『短大卒業したら 水木プロの仕事を手伝う』って 言ってくれとるんだわ。」

源兵衛「ああ そら よかった~!」

布美枝「うん。 あ お父さん 横にならんと。 無理したらいけんよ。」

源兵衛「重病人扱いをするな! だらず!」

布美枝「あっ… すんません。」

源兵衛「布美枝… テレビは どげだ?」

布美枝「『鬼太郎』?」

源兵衛「うん。」

布美枝「評判 ええみたいだわ。」

源兵衛「そげか…。 ええ仕事をしとるなあ 村井さんは。」

布美枝「うん…。」

源兵衛「お前… ええ男と一緒になったなあ。 どげなるかと 案じとったが…。」

布美枝「なして? お父さん 最初から言っとったよ。 40年 50年 連れ添うなら あげな人が ええ」って。 『腕一本で 自分の道を 切り開いて生きとる。 つまづいても しぶとく立ち上がるのは あげな男だ』って。」

源兵衛「そう思っとってもな…。 見込み違いかもしれん。 嫁にやって つらい思いを させたかもしれんと…。」

布美枝「お父さん…。」

源兵衛「心配せん親は おらんわ。 貸本屋の店先で… わしが どなった事があっただらが。」

布美枝「ええ…。」

源兵衛「お前 わしに向かってきた…。」

回想

布美枝「うちの人は… 本物の漫画家ですけん!」

回想終了

源兵衛「村井さんに 寄り添って立っとった…。 ほっとしたわ。 この結婚は 間違いではなかったと 分かったけん。 だども… ちょっこし寂しい気もした。 お前は わしの娘から 村井さんの女房に 変っとったけん。」

布美枝「お父さん…。」

源兵衛「うん…。 さて 横になる…。 うん。」

居間

哲也「布美枝が 戻ってきたか。」

邦子「ええ。 今 お父さんのお部屋に。」

哲也「お父さん 喜んどるだろう。」

ミヤコ「強がり言っとるけど 会いたいに決まっとるわ。 昔は 賑やかだったねえ…。」

哲也「え?」

ミヤコ「大勢で ワイワイ…。 布美枝が目立たなくて かわいそうなぐらいだった。」

哲也「みんな 嫁に行ったり それぞれで やっとるけんな。」

邦子「日曜日には 俊文が 『夫婦で 顔 出す』と言っとりましたよ。」

哲也「俊文んとこに 子供ができたら また賑やかになるわ。」

ミヤコ「ウフフ! そげだね…。」

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