連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第151話「ありがとう」

居間

邦子「これ フミちゃんのお土産です。」

ミヤコ「ああ だんだん。 遠いところ わざわざ すまんだったねえ。」

布美枝「ううん。 お父さん しばらくは 病院かと思っとったけど。」

邦子「頭のレントゲン撮るのに いっぺんは 入院したんだけどねえ。」

ミヤコ「『うちがええ』って言うもんだけん 連れて戻ったんだわ。」

布美枝「そう。」

邦子「村井さんのお仕事 大変なんでしょう?」

布美枝「テレビも始まって 仕事の注文も 増えて 慌ただしくしとるわ。」

ミヤコ「お父さんも 楽しみにしとったんだよ。 『鬼太郎』のテレビ。」

邦子「倒れたの あれ 放送が始まる2日前でしたねえ。」

布美枝「え?」

ミヤコ「張り切って あっちこっちに 知らせろ言って。」

回想

ミヤコ「あんまり言って回ると 自慢しとるようですけん。」

源兵衛「婿の自慢して 何が いけんのだ。 繰り返しテレビになるというのは 『鬼太郎』が名作の証拠だわ。」

邦子「そげですねえ。」

源兵衛「わしは 貸本漫画の頃から ええと思うとった。」

ミヤコ「何回も おんなじ自慢して。」

源兵衛「何だ?」

ミヤコ「…いいえ。」

源兵衛「おい お茶ごしぇ。」

ミヤコ「ああ はい。」

源兵衛「及川さんとこには 連絡したか?」

ミヤコ「はい。 この前 電話で。」

(茶わんを落とす音)

源兵衛「うっ!」

ミヤコ「お父さん?」

源兵衛「うん… おかしいな。」

ミヤコ「お父さん! えっ?! お父さん!」

邦子「どげしました?! 大丈夫ですか?!」

源兵衛「大丈夫だ…。」

邦子「絵里子! 隣の田村先生 呼んできて!」

絵里子「はい!」

ミヤコ「お父さん!」

邦子「どげしました~!」

ミヤコ「しっかりしてごしない!」

回想終了

ミヤコ「かわいそうに 体の右側が 動かせんようになってしまって。」

邦子「それでも 心配しとったより ずっと軽かったですけんねえ。 『リハビリしたら 動かせるようになる』って お医者さんも言っとられましたし。」

布美枝「調布のお母さんも そげ言ってました。 『必ず よくな~だけん お母さん方が 病気せんように』って。」

ミヤコ「だんだん。 でも… 年も年だし。」

邦子「気持ちが しっかりしてますけん。 フミちゃんとこにも 最初は 『知らせるな』って 言っとられたんだよ。」

布美枝「え?」

邦子「倒れた時 すぐに電話しようとしたわね。 そげしたら お父さんが…。」

ミヤコ「『俺は このぐらいでは死なん 大げさに騒ぐな』って。 『心配させたらいけん』って。」

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