連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第22話「さよなら故郷(ふるさと)」

茂「よっ…。」

いずみ「うわっ! うまい事しますね。」

茂「器用な方ですけん。」

邦子「すんません。」

茂「いえ。」

布美枝「みんなで来てくれるとは 思わんだった。」

邦子「遅くなって ごめんね 俊文が ぐずっとって 家 出るの後れたもんだけん。 汽車に 間に合わんかと ひやひやしたわ。」

ミヤコ「この子 昨日から機嫌が悪いのよ。 『おばちゃんが おらん』と言って。」

俊文「おばちゃん どこ行くかね?」

貴司「東京に お嫁に行くんだよ。」

俊文「いつ 帰ってくる? 明日?」

哲也「そげに 早こと 戻ってこられたら 困るよな。」

俊文「一緒に帰ろう。」

布美枝「俊文…。」

邦子「おばちゃん困らせたら いけん!」

布美枝「お父さんは?」

貴司「店番しとるわ。」

ミヤコ「『今日くらいは お店閉めて』って 言ったんだけどねえ。」

布美枝「そう…。」

飯田酒店

客「布美枝ちゃんが… そげかね。 おめでとうございます。」

源兵衛「あ~がとうございます。」

客「源兵衛さん ええのかい? 送りに行かんで?」

源兵衛「別れは もう済ませましたけん。 男親が 嫁に行く娘の後を いつまでも追っかけとっては みっともないですわ。」

(2人の笑い声)

源兵衛「こげな内々の事で 店を 休む訳にも いきませんけんね。」

玄関前

留蔵「今日くらい 店休んでも ええと思うがなあ。」

克江「東京じゃ 里帰りも なかなかできんだろう。」

留蔵「これが 今生の別れかも しれんけんなあ。」

克江「本当だが…。」

源兵衛「あ~がとうございました!」

<もし 何かあれば 本当に 今生の 別れになるかもしれない…。 この頃 東京に嫁に行くという事は それくらいの覚悟が いる事でした>

駅のホーム

布美枝「元気でおるんだよ。」

哲也「もう乗らんと 汽車が出るぞ。 俊文。」

ミヤコ「これ お赤飯 炊いたんだよ。 お握りにしてあるけん 汽車の中で 食べてごしない。」

邦子「お茶 温かいの 入れてあるけん。」

布美枝「だんだん…。」

ミヤコ「茂さん 布美枝の事を よろしくお願いします。 私ら 東京の事は 何も分からんですけん。 何も してやる事が できんですけん…。 どうか くれぐれも… くれぐれも よろしくお願いします。」

茂「分かりました。」

布美枝「みんな 元気でね!」

いずみ「お姉ちゃんもな!」

邦子「茂さんを 大切にね!」

布美枝「うん!」

ミヤコ「体に気ぃつけんだよ!」

布美枝「うん!」

邦子「私… 何で お父さんが 来なかったのか 分かった。 泣き顔 見られんのが 恥ずかしいんだわ!」

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