連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第22話「さよなら故郷(ふるさと)」

列車

布美枝「あの… 赤羽は遠いですか?」

茂「アカバネ?」

布美枝「上の姉が住んどるんです。 結婚して。」

茂「ああ 東京の赤羽ですか。 調布からは ちょっとあるかなあ。」

布美枝「遠いですか…。」

茂「いやいや 東京のうちですけん それほどでは…。」

茂「狸の話を聞いた事があります。」

布美枝「え? 狸ですか?」

茂「古狸が住んでおって 『大入道』に 化けて 人を脅かすんです。」

布美枝「あら 随分 田舎なんですねえ。 姉の夫は 銀座に勤めておりますが そげに田舎から 毎日 銀座に?」

茂「は?」

布美枝「え?」

茂「いやいや 狸は 昔の話です。」

布美枝「あっ…。」

茂「昔話ですわ。」

布美枝「あ… そげですよね。」

茂「みかん 食べましょう。」

布美枝「あ はい。 どうぞ。」

茂「はあ。」

布美枝「むきましょうか?」

茂「自分で できますけん。 人の手を借りんでも 何でも できます。 心配は いりません。」

布美枝「すんません。」

<何を話したら いいのか 分からないまま 黙って 座っていると ふいに 心細さが 込み上げてきました>

車掌「お客さん 困りますねえ!」

浦木克夫「そんなに ガミガミ言わんでも ええだないの。 空いとる席に ちょっと腰掛けとったぐらいで ガミガミ ガミガミ ガミガミ!」

車掌「あなたが 平気な顔して 居座ってるから こちらの おばあちゃん 『自分の席が無くなった』って 迷っておられたんですよ。 勝手に人の席に 座られては困ります!」

浦木「失敬だな。 僕は おばあちゃんが 便所に行ったすきに 荷物を とられんよう 番をしとっただよ。」

おばあちゃん「やっぱし ここ わしの席だがね。」

車掌「おばあちゃん すまんですね。」

おばあちゃん「ああ。」

車掌「人の席には 座らんで下さい! 規則ですから!」

浦木「規則規則って 学校じゃあるまいし 杓子定規な事 言うんだないよ!」

車掌「他のお客さんの 迷惑なんです! ここはダメ!」

浦木「はい はい はい。 はあ…。 あ! あっ あ~ あ~ あ~ あ~! あっ! あ~! あっ あ~!」

布美枝「な な 何?!」

浦木「ゲゲ! ゲゲでねえか おい! 起きろよ。 ゲゲ。 おい! 起きろよ 俺だ 浦木だ! おい 久しぶりだなあ! ハハッ ゲゲ!」

<心細さを抱えて 東京に向かう列車の中 布美枝は 茂の知り合いらしき 奇妙な 人物と出会いました>

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