連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第87話「チャンス到来!?」

はるこ「すいません。 お仕事の邪魔しちゃって。」

茂「いや ちょうど 茶でも飲もうかと 思っとったとこだから。」

はるこ「私… やっぱり 布美枝さんに 合せる顔がありません。 先生から よろしく お伝え下さい。 帰って お仕事しなきゃ。」

茂「浦木が心配しとったですよ。 『あんたの居所が分からん』とか 言って。 まあ あいつの話は どうでもええんだが おかしな事を言っとったから。」

はるこ「え?」

茂「『時間がない』とか なんとか…。 時限爆弾じゃあるまいし 何を言っとるのかと思ったが…。 どこか 具合でも悪いのかね?」

はるこ「先生。 私 本当に もう時間がないんです。」

茂「え?」

はるこ「3年です。 『3年で 漫画家として 認めらる事。 それが ダメだったら 漫画は キッパリ 諦めて 実家に帰る』。 そういう約束でした。」

茂「3年というと…。」

はるこ「今月です。 この3月いっぱいで。」

茂「ああ…。」

はるこ「もう 時間切れ間近です。」

茂「けど あんた 貸本漫画じゃ 随分 描いとったじゃないですか。」

はるこ「最近は 注文も減ったし 原稿料も安くなるばっかりです。 最後の勝負時だと思って パチンコ屋 辞めて 浦木さんの仕事も断って 漫画だけに集中してたんです。 でも… 編集部 回っては 断られて…。 今日も 持ち込みの帰りなんです。」

はるこ「『当たって砕けろ』の精神で ど~んと大きいところに。 いけるかな~って 思ったんですけど やっぱ 厳しいみたいで…。 砕けちゃいそうです。 先生にも 会えなくなるなあ。 初めから 望みなしだったけど…。 たまに会えるだけで 近くに いれるだけで よかったのに…。 先生 私ね…。 嫌だ 何 言ってんだろう… すいません 帰ります!」

茂「あっ!」

はるこ「あっ!」

茂「待ちなさい! 原稿は 大丈夫だけん。 ほんの少し ぬれただけだ。 ほら!」

はるこ「先生…。」

茂「え…。」

はるこ「先生… 私…。」

絹代「あんた 何しちょ~かね!」

茂「いや あの…。」

布美枝「お父ちゃん…。」

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