村岡家
居間
花子「蓮様 純平君と 離れ離れにされていて…。」
龍一「そうですか…。」
醍醐「蓮子様 かわいそう…。」
花子「でも 純平君は 元気でしたよ。 すっごく大きな声で 泣いていました。」
龍一「泣いてたんですか?」
花子「ええ! もう お屋敷中 響き渡るぐらい 大きな声で。」
龍一「そんなに泣くなんて… 純平は 大丈夫なんですか!? どんな ひどい扱いを 受けてるんです!?」
花子「いえ… ですから 純平君は 平気ですって。」
かよ「赤ちゃんは 泣くのが 仕事みてえなもんですから。」
英治「そんなに大きな声で 泣いてたなんて 丈夫な証拠ですよ。」
龍一「そういうもんですか…。」
花子「安心して下さい。 乳母の方が きちんと お世話を なさっていたようでしたから。」
龍一「それなら いいんですが…。」
郁弥「宮本さん 心配し過ぎですよ。 Don’t worry.」
(歩の泣き声)
花子「歩? どうしたの?」
(泣き声)
英治「ああ おしめだな。」
花子「おしめ。」
英治「え~ おしめというのは 赤ん坊にとっては 非常に迷惑なものです。 だから おしめを外すと その解放感から…。 あっ すいません! こういう事もあるからと 注意しようと思ったんですが 遅すぎましたね! すいません! 大丈夫ですか?」
龍一「はい。 あの… よく分かりました。」
(ぐずる声)
かよ「こうやって 気を引くといいですよ。」
(でんでん太鼓の音)
かよ「ほら 歩~! これ 何ずらね? お願いします。」
郁弥「はい。」
かよ「よいしょ。 前を厚くするです。」
郁弥「ワ~オ。 かよさんは ベイビーの世話も 手慣れたものですね。 理想のお嫁さんだ。」
(歩の声と笑い声)
醍醐「かよさんと郁弥さん 何だか 最近 いい雰囲気よね。」
花子「そうね。」
醍醐「今日はね はなさんに報告があって お邪魔したの。」
花子「報告?」
醍醐「私 実は今 蓮子様の事を 生い立ちから ずっと 調べているの。 彼女が これまで どんな思いで生きてきて なぜ 駆け落ちという道を 選んだのか 何時か 記事にしたいと 思ってるの。」
花子「醍醐さんなら きっと すばらしい記事を書けるわ。」
醍醐「ありがとう。 はなさんにも取材させてね。」
花子「てっ… 私も?」
醍醐「お願いね。 じゃあ これで失礼するわ。 宮本さん。 また改めて 蓮子様とのなれ初めを 聞かせて下さいね。」