連続テレビ小説「花子とアン」第136回「アンとの出会い」【第23週】

村岡家

居間

梶原「実は うちも しばらく 翻訳物の出版は やめる事にしたんだ。」

花子「そうですか。」

梶原「童話も近々 やめざるをえないかもしれない。 最近は 戦争漫画や戦記物 それに 実用書ばかりが売れていてね。」

花子「夢のある物語は ぜいたく品なんでしょうか…。」

梶原「これから ますます 世の中に夢を送り出す商売は 成り立たなくなっていくのかも しれないね。」

宮本家

居間

(戸の開閉音)

蓮子「富士子… どうしたの?」

富士子「お母様… お母様!」

蓮子「どうしたの? 何があったの?」

富士子「お母様… お父様は 悪い事してないわよね? 国賊なんかじゃないわよね!? お父様が 憲兵さんに連れていかれたのは 国賊だからだ 銃殺になれって 石を投げられたの…。」

蓮子「けがは? けがはない?」

<憲兵隊で取り調べを受けた龍一は 釈放されましたが 世間からは 白い目で見られたままでした。>

蓮子「富士子。 お父様は お国を平和にするために 働いているのよ。 悪い事してる訳じゃないわ。」

富士子「本当?」

蓮子「ええ。 お父様のなさっている事は 勇気のある行動なのよ。 だから もう泣かないで。 ほら。」

(戸が開く音)

龍一「ただいま。 富士子 どうした?」

純平「お父様。 富士子に謝って下さい。 お父様のせいで 富士子が いじめられているんです!」

蓮子「純平。」

純平「富士子だけじゃない。 お母様やおばあ様だって お父様のせいで 近所の人たちから 悪く言われているんです! お母様とおばあ様にも 謝って下さい。」

龍一「俺は 間違った事を 言っているつもりも しているつもりも ない。 一日も早く 戦争は 終わらせるべきだ。 それが お前たちのためでもあるんだ。」

純平「僕たちのため?」

龍一「ああ。 そうだ。」

純平「僕の将来の夢は あなたのせいで断たれたんです!」

蓮子「やめなさい 純平!」

純平「この人のせいで 僕は 士官学校の受験を 諦めざるをえなかったんだ! あなたが日本を裏切って 敵と妙な取り引きを 企てたりするから。」

龍一「人を殺すために… 戦地で無駄死にさせるために お前を育ててきた訳じゃない!」

純平「お国のために命をささげる事は 無駄なんかじゃありません!」

蓮子「2人とも やめて下さい! 龍一さん。 純平。 純平!」

(泣き声)

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