連続テレビ小説「花子とアン」第136回「アンとの出会い」【第23週】

宇田川「私は ペン部隊の一員として 我が皇軍将兵の勇戦敢闘ぶりを この目で しかと見てまいりました。 私は 心の中で叫びました。 『遠き故国 日本の母よ! 姉よ。 はたまた 恋人よ。 あなた方の 慈しんだ人たちは 今 破竹の勢いで 猛新劇を続けております! これを あなた方がご覧になれば きっと 涙にむせびつつ 同時に 誇らしく思われる事で ありましょう』と!」

応接室

宇田川『不肖 この宇田川満代は 一人でも多くの銃後の方々に このお話を たとえ 年を取って 腰が曲がろうとも 語り伝える事でありましょう』。

花子「宇田川先生…。」

宇田川『それこそが ペン部隊の一員たる 私の果たすべき 究極の任務なのでございます!』。

廊下

漆原「宇田川先生。 本日は 誠にすばらしい講演をありがとうございました。 戦地での日本軍将兵の活躍が 目に浮かぶようでしたよ。 興奮しました。」

宇田川「あら。」

花子「宇田川先生。 日本にご帰国なされてたんですね。 ご無事で何よりです。」

宇田川「無事に決まってるでしょう。 兵隊さんが命を張って 私を守ってくれたんですもの。」

花子「はあ…。」

宇田川「ちょうどいいわ。 これから 私の帰国を祝う会があるの。 あなたも来るでしょ?」

花子「えっ…。」

カフェー・タイム

長谷部「乾杯!」

一同「乾杯!」

(拍手)

醍醐「実際に戦場に立つと やっぱり違うんでしょうね。」

宇田川「当然でしょう? 着いたそばから 砲撃の爆風で ぶっ飛ばされかけたわ。 そのうち どこでも 原稿が書けるようになったわ。 戦闘地帯の真っただ中で 書いた事もあるわね。」

醍醐「銃撃戦の最中に…。」

黒沢「男でも 戦地のすさまじい状況を 目の当たりにすれば ひるみそうなところを 女である先生が…。 感服致しました。」

長谷部「宇田川先生を推薦して よかったわ。」

醍醐「やっぱり ご自身の目で 実際に見た方が言葉は 説得力が違うわね。 ますます 戦地へ行って 自分の目で確かめたくなったわ。」

花子「醍醐さん…。」

宇田川「お嬢様のあなたに 耐えられるかしら? 実際の戦地は 内地で聞いて想像するのとは 悲惨さが全く違うわよ。」

醍醐「そうなんですか…。」

宇田川「例えば におい。 爆薬や硝煙のにおい。 それから… 人の命が燃え尽きるにおい。 あの においには 最後まで慣れなかったわね。」

黒沢「ところで 蓮子さんは 今日は いらっしゃらないんですか?」

醍醐「お誘いは したんですけれど…。」

長谷部「しかたないでしょう。 あの方は 私たちとは違うお考えを お持ちのようだから。」

醍醐「はなさん。 蓮子様とは ずっと連絡を取ってないの?」

花子「ええ。」

かよ「お姉やん。 手紙くらい書いたらいいのに。」

花子「いいのよ。」

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