花子「ええ。 私も そう思います。」
黒沢「では 本番は間もなくですから。」
蓮子「大丈夫かしら…。」
花子「大丈夫よ。 落ち着いて。」
蓮子「何だか恐ろしくなってきたわ。」
花子「ねえ 蓮様。 スコット先生を覚えてる?」
蓮子「ええ。 修和女学校の…。」
花子「ええ。 あの先生がカナダに帰国なさる時に 本を渡して下さったの。 そこに出てくる主人公が こう言うの。 『自分の未来は まっすぐに延びた 道のように思えた。 いつも 先まで ずっと見通せるような気がした。」
花子「ところが 今 曲がり角に来たのよ。 曲がり角を曲がった先に 何があるのかは 分からないの。 でも きっと 一番よいものに 違いないと思うの』。」
蓮子「その主人公 はなちゃんみたいね。」
花子「蓮様も 勇気を出して 曲がり角を曲がって。 きっと 蓮様の思いは届くわ。」
スタジオ
蓮子「私が 今日 ここでお話したいのは 平和の尊さでございます。 先の戦争で 私は 最愛の息子 純平を失いました。 私にとって 息子は 何ものにも 代え難い存在でございました。」
宮本家
居間
蓮子『『お母様は 僕がお守りします』。 幼い頃より 息子は そう言って 母である私を いつも守ってくれました。 本当に 心の優しい子でした』。
JOAK東京放送局
スタジオ
蓮子「子を失う事は 心臓をもぎ取られるよりも つらい事なのだと 私は 身をもって知りました。 もしも 女ばかりに 政治を任されたならば 戦争は 決してしないでしょう。 かわいい息子を殺しに出す母親が 一人だってありましょうか。」
かよの露店
蓮子『もう二度と このような 悲痛な思いをする母親を 生み出してはなりません。 もう二度と 最愛の子を奪わせては ならないのです』。