もも「おかあ。」
ふじ「もも。 旦那さん支えて こぴっと頑張るだよ。」
もも「はい。 おかあの ほうとうの味は 一生忘れねえ。」
ふじ「フフフフ。 いつでも こせえてやるさ。 ももの帰るうちは ちゃ~んと ここにあるだからね。」
もも「おかあ…。 おら おかあみてえな 強くて優しい おかあになるよ。 おかあ。 おらの事 生んでくれて ありがとごいす。」
ふじ「もも 幸せになれし。」
もも「はい。 ほれから お姉やん。 お姉やんの書えた 『みみずの女王』の話 あっちで みんなに読んであげるだ。」
はな「うん。」
もも「お姉やんは おらの自慢じゃん!」
はな「北海道までは 長旅ずら。 ほかにも 本 持っていけし。」
もも「ううん! おら 知らねえ人が書えた本よりも お姉やんが書えた話が読みてえ。」
はな「もも…。」
もも「お姉やんがしてくれる話は 全部 突拍子もなくて 面白かったなあ。 お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 書えたら送ってくりょう! 約束だよ。」
はな「うん。」
吉平「もも そろそろ 汽車の時間じゃ…。」
もも「おらの事 今日まで育てて下さって ありがとうごした!」
道中
<もも ガールズ ビー アンビシャス! お幸せに。>
安東家
居間
周造「行っちまっただな…。」
はな「うん…。」
ふじ「ももは 明るくて 働きもんだから きっと みんなに好かれて 幸せにやっていけるらね。」
はな「何だか このうち 広くなったね。」
ふじ「なにょう言ってるだ。 うちが 急に狭くなったり 広くなったりする訳ねえら。」
周造「そうさな。」
教会
図書室
回想
もも「お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 書えたら送ってくりょう!」
回想終了
はな「よし。 平凡な私にしか書けない 普通の話を書くじゃん。」
はな『百合子は 一人っ子でしたから お友達が遊びに来ない時は 寂しくて たまりませんでした。 「誰か遊びに来ないかなあ」と 言いながら お庭の木戸から 裏の原っぱへ出ていきました』。」