連続テレビ小説「花子とアン」第68回「銀座のカフェーで会いましょう」【第12週】

宇田川「あっ 『みみずの女王』だ。 何で こんなとこで コーヒー運んでんのよ。」

はな「お久しぶりです 宇田川先生。」

宇田川「何なの?」

はな「ご執筆中に申し訳ありません。 ちょっと お話ししたいのですが。」

宇田川「執筆の邪魔してまで したい話って?」

はな「お願いします! 新しい児童向けの雑誌に 小説を書いて下さい!」

宇田川「何で 『みみずの女王』から 原稿の依頼されなきゃ いけないのよ。」

はな「えっと… あの… この度 私 聡文堂で働き始めたんです。 編集者として。」

宇田川「あなた 作家も向いてないけど 編集者は もっと向いてないわ。 さっさと田舎へ お帰んなさい。」

はな「ほんな… おととい 甲府から 出てきたばっかりなんですよ。」

宇田川「知らないわよ そんな事。」

はな「宇田川先生?」

宇田川「あなた 逢い引きした事ある?」

はな「いえ…。」

宇田川「いい年して 逢い引きした事ないの。」

はな「あ… すいません! これ 次の連載小説ですか?」

宇田川「『文芸東洋』に書くのよ。 取材しようと思ったのに 役に立たないわね。」

はな「あっ 待って下さい! うちの雑誌にも書いて下さい!」

宇田川「私は もう 子ども向けの話なんて 書かないわ。」

はな「どうしてですか? 宇田川さんの『つむじ風の乙女』 すばらしかったのに…。」

宇田川「あなたと違って 私は 更に高みを目指してるの。 私の才能を 子ども向けの雑誌なんかに 費やすつもりないわ。 日本文芸界の損失よ。」

はな「お言葉ですが 子ども向けだから 大人の小説より価値が低い という事はないんじゃないですか。」

宇田川「仕事の邪魔した上に この宇田川満代に意見する気?」

はな「あっ すいません! すいません…。」

宇田川「あなたの顔見たら 余計 書きたくなくなったわ。」

かよ「あっ! あの お勘定。」

宇田川「梶原さんに付けといて。 この人の迷惑料よ。」

(ドアが閉まる音)

「今日は せっかくのコーヒーの味が 分からなかった。」

かよ「すみません! おいしくなかったですか?」

「いや あの 鼻持ちならない 女の作家のせいで。 あなたも大変ですねえ。」

はな「いえ…。」

「しかし 宇田川先生とやらに 1つだけ 共感できる事がありました。 あなたは 編集者には 全く向いてない。」

はな「てっ…。」

「悪い事は 言わない。 早く 国に帰った方がいいですよ。」

聡文堂

梶原「ハハハ 安東君 捕まえて 逢い引きの取材をするとは 彼女らしいね。」

はな「あの… 宇田川先生は いつも そうなんですか?」

梶原「彼女に限った事じゃない。 作家が飛びつくような題材を 提供するのも 編集者の大事な仕事だよ。」

醍醐「まだ1回目じゃない。 頑張って。」

梶原「そうだよ。 当たって砕けろだ。」

須藤「編集長 そろそろ。」

醍醐「私たち これから広告取りだから 留守番 お願いね。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク