連続テレビ小説「花子とアン」第74回「その恋、忘れられますか?」【第13週】

蓮子の部屋

蓮子「何なの? あなた。 出ていきなさい!」

龍一「嫌です。 話を聞いて頂くまで帰りません。 イッテ~…。」

蓮子「フフフ… アハハハハハハ! 勇ましさが台なしね!」

龍一「何だ この部屋…。 俺の部屋より散らかってる。」

蓮子「アハハ おかしい…。 アハハハハ! アハハ…。 アハハハ!」

(笑い声)

蓮子「ああ… こんなに笑ったの久しぶり。」

龍一「人の不幸を笑うとは 悪趣味だな。」

蓮子「どなたか存じませんけれど 東京から 尻餅をつきにいらしたの?」

龍一「笑い過ぎですよ! この顔 お忘れですか?」

回想

龍一「『新興成金の奥方には わざと まずいコーヒーでも飲ませて 追っ払え』と 僕が言ったんですよ。」

回想終了

蓮子「ああ… あの時の。」

龍一「やっと思い出してくれましたか。」

蓮子「こんな所まで また けんかを売りにいらしたの?」

龍一「いえ。 あなたを口説きに来たんです。 これ 読みましたよ。」

蓮子「それで?」

龍一「僕たちの劇団のために 脚本を書いて下さい!」

蓮子「脚本? さあ 三十一文字より多くの文字を つづるすべは 知らないわ。」

龍一「僕は あなたに書いてほしいんだ!」

蓮子「どうして 私なの? 劇団で お金でも必要なのかしら?」

龍一「金なんか! …いえ 本音を言うと 金も欲しいですけど。」

蓮子「フフッ 正直ね。」

龍一「僕たちは 演劇を通して 今の不平等な日本を 変えようと思ってます。 そのためには まず 人々の心に深く突き刺さり 揺さぶる舞台をやる必要がある。 僕は この本を読んで すぐに汽車に飛び乗りました。 白蓮の歌に込められた ほとばしるような劇場に 僕の心が揺さぶられたからです! 引き受けてもらうまで 帰りません!」

蓮子「随分と熱いのね。 でも 世の中なんて そう簡単に 変えられるものじゃないわ。 しきたりも仕組みも 変わりはしないのよ。」

龍一「じゃあ… 世の中なんか どうでもいい。 僕のために書いてくれませんか。」

蓮子「は…?」

龍一「あなたしか書けない脚本を。」

聡文堂

<あの人の事を 忘れよう 忘れようとして 余計 頭に浮かんでしまう。 それが恋というものなのです。>

はな「あ… どうも ありがとうございます。」

郁弥「いえ。」

醍醐「今日は お兄様は いらっしゃらないんですか?」

郁弥「兄は 別件でちょっと。 代わりに 割り付け 届けに来ました。」

カフェー・ドミンゴ

かよ「あの… 私は 花より…。」

郁弥「チップの方がいいんですよね。 でも 勿忘草を見てたら かよさんの事を 思い出してしまって。」

かよ「ご注文は?」

郁弥「あっ ウイスキーを。」

かよ「ウイスキー 1つ。 今日は 英治さんは いらっしゃらないんですか?」

郁弥「何で みんな 僕の顔見ると 同じ事 聞くのかな…。 兄は 義姉さんの見舞いに行ったんです。」

かよ「お姉さん 入院なさってるんですか?」

郁弥「もう3年も結核の病棟に。 兄と結婚して すぐに 胸を患って…。」

かよ「結婚? 英治さん 結婚なさってたですか?」

郁弥「あ… ご存じなかったですか?」

かよ「え… ええ。」

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