郁弥「かよさん ひょっとして… 兄の事が好きだったんですか?」
かよ「てっ!? 違います! 好きなのは 私じゃなくて…。」
(ドアベル)
かよ「いらっしゃいませ。」
須藤「いや~ こんばんは。」
かよ「こんばんは。 あちらの席に どうぞ。」
梶原「おお 郁弥君。」
はな「あっ 郁弥さん。 ごきげんよう。」
郁弥「どうも。」
かよ「お姉やんも こちらの席に どうぞ。」
はな「うん。」
かよ「お兄さんが結婚してる事 ちょっこし ないしょにしていて もらえますか?」
郁弥「ちょっこし?」
かよ「傷つく人がいるので。」
郁弥「それは かよさんじゃないんですよね?」
かよ「違います。 とにかく ないしょに。」
郁弥「分かりました。」
醍醐「郁弥さん。 よかったら こっちにいらっしゃらない?」
郁弥「はい。」
須藤「おいで。」
三田「どうぞ どうぞ。」
郁弥「失礼します。」
はな「あっ 『王子と乞食』の原書は 郁弥さんから頂いたんです。」
梶原「そうだったの。」
郁弥「安東さんの翻訳 兄は仕事も忘れて 読みふけってました。 すごく 面白いって。」
はな「それは 原作が すばらしいからです!」
醍醐「はなさん ずるいわ。 私も もっと頑張らなくちゃ。 英治さんは 何がお好きなの?」
郁弥「兄の好きなものですか?」
醍醐「ええ。」
梶原「珍獣だよ。 ほら ナマケモノとかさ。」
醍醐「ナマケモノ?」
はな「変わってますよね。」
<かよは 知ってしまったのです。 お姉やんの恋は 道ならぬ恋だと。 ごきげんよう。 さようなら。>