自宅
『うれしいひな祭り』が流れる
また この歌だ
ああ 始末書なんて 書きたくないよ もし愛くんが 見たら どんな顔なんだろ? 今 ああ 声が聞きたい いや でも あんまり 甘えるのやめよ とか 思ってるうちに
純「あ! かけてしまった」
愛「はい」
純「私 今 どこ? ネットカフェとか?」
愛「はい」
純「今 何してんの?」
愛「一応 職探しを いつまでも プー じゃ マズイし これから 純さんと ちゃんと 付き合うんだったら」
ってことは まだ お試し期間は 終わってないわけね
愛「なかなか 適当なのが なくて」
純「うん 人の顔見なくて いい仕事って なんだろ? 図書館? 研究所とか なんか? 作家 画家 動物園… あ ねえねえ 灯台守とか どう?」
愛「一応 みんな やったことあるんですけど」
え? 灯台守も?
愛「やっぱり 結局 人の顔見なきゃいけなくて」
純「あ そうだ! ねえ パソコンは? パソコンの仕事はさ 人の顔見なくて いいじゃん」
愛「パソコンも長くやってると ネットにつながってる世界中の人間の悪意 みたいなもの が押し寄せてきて 頭が 破裂しそうになるんで」
純「じゃあ どうすんのよ? 運動神経も凄いいいし 英語も出来るし なんでも 出来そうなのに」
愛「分からないんです 自分が 何をしたいのか」
純「え?」
愛「なんのために 生きてるのか 高校の時 家を出るまでは 両親の跡を継いで弁護士になるものだと 思ってたし それより 純さんの方こそ なにかあったんじゃないですか?」
純「え?」
愛「それくらい声聞けば わかります」
くそ こいつには ウソつけねー
純「うん 実はさ… この間 言ってた母親にさ『留守の間 子供の面倒みてくれ』って 頼まれたんだけど… そうだ!」
愛「どうしたんですか?」
オオサキプラザホテル
純「あ あの子 あの子 また 落書きして あの子が 本当に盗んでないか 見てほしいんだけど」
愛「いや でも」
純「お願い もう方法が他にないんだって」
皆川「こら ここは ダメだぞ」
愛「分かりました」
純「どう? 見える?」
愛「指輪は あの子が 持ってます」
純「やっぱり」
ガキ「うー」
女「あっくん? どうした?」
ガキをひっぱたく愛
愛「おい お前 二度と 弟に『死ね』なんて 言うな!」
男「ちょっと なにやってんですか あなた」
愛「分かってんのか おい お前がな 親にバレないように 弟イジメてんの全部 知ってんだからな」
え? ウソでしょ?