道中
『うれしいひな祭り』が流れる
ああ またこの歌が 頭の中を お母ちゃんに電話しようかな… あ でも この前泣かせちゃったしな…
狩野家
正「あれ? 母さんどうしたの?」
晴海「あ うん… 純に電話しようかと思うんだけど」
正「うん」
晴海「この前怒られちゃったからさ」
正「え? なんで?」
晴海「え? うん… あ 正 あんた 本当にいいの?」
正「何が?」
晴海「まだ マリヤさんのこと 好きなんじゃないの 本当は」
正「俺は 婚約したんだしさ」
晴海「あんたが どうしても 嫌なら お母さんが お父さんに 頼んであげるからさ」
正「なんか どうしたの? なんか珍しいね お母さんが そんなこと言うなんて」
晴海「気になるのよ マリヤさんのことが」
正「まあ マリヤのことだから 俺のことなんか 忘れて たくましく 生きてるよ きっと」
自宅
純「うわー すごい! なにこの ごちそう?」
愛「いいこと あったんです」
純「いいこと? もしかして 仕事決まった?」
愛「はい(お金を手渡す)」
純「え? なにこれ?」
愛「今月の生活費です」
純「え? どうしたの このお金?」
愛「麻雀やったんです 相手の待ちとか 読みとか 全部わかるから 楽勝でした」
純「こんなの… こんなの逃げてんのと一緒じゃない! ねえ? 辛いのは 分かるよ だけど どうして 戦わないの?」
愛「母に会ったんですね」
純「そうやってさ 心の声聞くのもやめてくれる?」
愛「トイレに」
純「だから そうやって トイレに逃げるのもやめてよ! 私はね いつも あんたが先にトイレに入るからね 膀胱炎になりそうなんだからね!」
トイレに駆け込む純
別に今はしたくないのに 入ってしまった
愛「ウチの母と同じように 僕のこと 病気だと思ってるんですか? 純さんも?」
純「そうじゃないけど… 私は このまま愛くんが 一生うつむいてたら どうしよう って思うわけ 付き合ってるなら 普通のカップルみたいに 堂々と顔を上げて歩きたいの ダメかな? そういうの」
愛「わかりました」
純「え?」
愛「明日 病院行ってきます」
純「本当?」
愛「二人のため… ですもんね?」
純「うん」
おじぃ おねがい この決断だけは 間違いじゃないって言って