高校
愛「ここが 純さんが通ってた 高校ですか?」
純「うん なんか 久々に来たから 懐かしいって感じ あ 私さ 高校の時にさ ハンドボール部だったのよ 話したっけ?」
愛「へえ」
純「でさ キーパー やってて どんなボールが来ても 体張って 全部跳ね返してたの」
愛「あぁ そうなんですか」
純「あ 信じてないでしょ?」
愛「いや」
純「じゃ やってみる? 絶対 入れさせないから」
愛「いや いいですよ」
純「いいから 遠慮しないで 思いっきりやってみて」
愛「分かりました いきますよ」
純「来い!」
純「痛った」
愛「大丈夫ですか?」
純「大丈夫じゃないわよ! 少しくらい 手加減しなさいよ あんたも うわ 鼻血出た」
愛「純さん これ」
純「何やってんだろ 私 親父にあんなこと 言われたけど 絶対泣かないって決めてたのに これから 愛くんに 大事な事 言わなきゃいけないのに こんな 顔で言いたくないのに」
愛「純さん だったら 涙が止まるまでに 一本の電話をしても いいですか?」
純「誰に?」
愛「ウチの母に ちゃんと伝えておかないと いけないこと まだ 言ってなかったから」
多恵子「何?」
愛「愛です」
多恵子「分かってるわよ 要件は?」
愛「あの… 僕はもう 病院には 行きません 純さんと一緒にいれば 辛くないし」
多恵子「くだらない女のために 一生を台無しにするなんて 自分の言っている意味が分かってるの?」
愛「分かってます」
多恵子「いいえ あなたは 分かっていない 必ず 後悔する 私の方が 正しいって気づく」
愛「分かっていないのは お母さんの方です 純さんは 僕なんかより たくさんの人を幸せに出来る人間です なぜだか 分かりますか? 純さんは たくさんの愛に溢れているからです どんなに辛い事があっても 理想と 希望を 絶対に捨てないからです そのせいで だ誰からも愛されなっても その信念を曲げるくらいなら 独りぼっちでいること選ぶ そんな強い人間だからです」
多恵子「だったら 今すぐに選びなさい その女を選ぶか 私を選ぶか その女を選ぶなら あなたは もう 私の息子じゃない 縁もゆかりもない ただの 赤の他人です」
愛「僕は 純さんを取ります!(通話が切れる)」