階段前
純「あの 大丈夫ですか?」
老女「いえね 結婚式場に行きたいんだけど ホテルが広いんで迷ってしまって 足が悪いもんですから しんどうて」
純「じゃあ 私 連れて行きますよ」
純「あ これですね ありました ここですね」
老女「おおきに 本当に今時めずらしい 優しいお嬢さんね」
純「いえいえ ありがとうございます そんな どうぞ どうぞ 行ってください」
愛「返して下さい」
純「あんた 何やってんのよ?」
愛「お願いだから 返して下さい」
老女「あの 何をおっしゃってるのか」
純「すいませんね」
愛「財布無くなってませんか?」
純「は? 何言ってんのよ?」
愛「確認してください 財布」
純「無い」
逃げる老女
純「ちょっと 足悪いんじゃなかったの?」
老女「だまされる方が悪いんじゃ」
階段から落ちる純
純「痛った」
老女「なんや こんだけかいな アホらし」
ロビー
純「もう 最悪 内定は来ないし だまされるし 足は挫くし もうやだ」
愛「動かないでください 足だして」
愛「これで大丈夫ですか?」
純「ありがとう あのさ」
愛「はい」
純「なんで さっきの人がスリだと思ったの?」
愛「見えるんですよ」
純「え 見える 何が?」
愛「その人の 本性みたいのが あのいや だから その人が隠してる 裏の顔っていうか さっきのおばあさん あなたにおんぶされてるとき 目は吊り上がっていて 下品な顔で 舌なめずりして 何だか 若い頃に 色々裏切られたりとか 色々ひどい目にあってきたみたいな」
純「えと…」
愛「そうですよね あのだから なんていうか その」
(携帯の着信)
オオサキプラザ 人事部
純「ウソ! あの ちょっと ごめんね 痛った はい! 本当ですか?! 本当にこのホテルで働かせてもらえるんですか? ありがとうございます ありがとうございます 狩野純 死ぬ気で頑張ります はい 失礼します! やった! 痛っ!」
愛「純って 言うんだ」
純「奇跡 起きた」