純宅
愛「あの… お食事中 本当に悪いんですけれども その人 おっきい方はどうしてるんですか?」
純「多分ね 夜中にこっそりトイレ行ってるみたい。」
愛「なるほど。」
純「はあ… それにしたって どうやったら 出てきてくれるんだろう? 他のスタッフも全然協力してくれないし 女将さんに言っても テレビばっかり見てるし。」
(携帯の着信)
純「ん? あ! マリヤさん。」
愛「あ 出たらどうですか。」
純「うん。 もしもし マリヤさん?」
マリヤ「うわーん!」
純「うわ! おい。 勇気元気だね どうしたの?」
マリヤ「違う! 泣いてるの私ね。 正がね。」
純「お兄ちゃん なんかあった? え 病気?」
マリヤ「浮気してるの あのバカ。」
純「浮気?」
愛「ぶっ!」
マリヤ「しかも 相手は 私が正を奪わなかったら そのまま結婚してた 見合い相手で。」
回想
マリヤ「意義あり! 私と結婚して!」
純「あの人と?」
回想終了
マリヤ「勇気と一緒に死にます!」
純「え ちょっと 待って マリヤさん 待って! ねえ 早まらないで お願い!」
正サイド
正「おお 純か!」
純「お兄ちゃん 浮気してるって 本当? しかも 相手は お見合いで結婚するハズだった人なんだって?」
正「なにバカなこと言ってんだよ。」
愛子「正 お待たせ! 行こっか?」
純「ちょっと! 誰よ 今の?」
正「ああ いや その… 今から ビジネス関係の人とミーティングなんだよ。」
愛子「正 誰と話してるの?」
正「妹に聞こえるから。」
純「もう 聞こえてるわよ バカじゃないの お兄ちゃん。 父親なら 勇気のことが 可愛くて可愛くて 親ばかになるのが 普通なのに それでなくてもね マリヤさん育児で大変なんだよ そんな時にお兄ちゃん 自分が恥ずかしくないわけ?」
正「人の心ってのは お前が思っているよりも複雑で イージーに割り切れるものじゃないんだよ。 だいたい なんでお前に説教されなきゃいけないんだよ。 あ そうだ 子供のころ ケンカした時 お前 俺になんて言ったか 覚えてるか? お兄ちゃんが死んでくれたら 私がホテル継げるのに って言ったんだぞ あの言葉でな 俺がどれだけ傷ついたか 分かってんのか? 所詮お前は 人の心の弱さが分かんないだよ。」
里や
客室
純「こんにちは。」
客「…」
おじぃ あれから お兄ちゃんのことばが頭から離れないよ。 お前は人の心の弱さが分からいっていう…。
天野「ああ!」
純「(ノック)」
天野「やかましい!」
純「世捨人さん この前言ったこと 覚えてますか?」
天野「なんや?」
純「包丁持ってきたら 出てきてやるって。」
天野「それが どないした?」
純「包丁持ってきたらどうしますか?」
天野「持ってきたら 教えたるわ!」
純「分かりました。」