食堂
正「今度こそ無理だって 勇気 俺が抱くと必ず泣くんだから。」
純「そんなことないよ ね? ほら。 今機嫌いいし ちょっと抱いてみなよ。」
正「ええ…。」
愛「お義兄さん ほら 勇気。」
正が抱いた途端泣きだす勇気
正「ほら。」
志道「どうしてかしらね。 私なんか あんたに抱かれたら 大喜びしちゃうけどね。」
純「師匠。」
志道「すいやせん。」
正「やっぱり 勇気は 俺のことが 世界一嫌いなんだよ。 俺が父親になりたくないと思ってたの知ってて。」
純「そんなことない。 ほら他の人が抱いても泣くかも知れないじゃん。 ね?」
愛「ああ。」
純「女将さん。 お願いします。」
サト「分かった!」
泣き止む勇気
純「女将さんはさ 誰からも愛されるキャラっていうかさ。」
愛「ああ。」
純「あ セクシーさん。」
羽純「勝利。」
勝利って 勝ち負けじゃない。
愛「純さん。」
純「こんなに顔怖い人いないよね。」
忍「勘弁してください 私 子供 大の苦手で。」
愛「これは泣きますよ。」
忍「すいません…。」
志道「ほれ。」
愛「そうだ! 純さんが抱いたら 泣くんじゃないですか?」
純「そう! いつもね 私が抱くと すぐ泣くのよ ね。」
純「なんで 泣かないの? 嬉しいわ嬉しいけど…。 でも今は泣いてよ。」
愛「純さん。」
純「なに?」
愛「今のうちに お義兄さんに 今のうちにお義兄さんに。」
純「あ!」
正「あ…。」
愛「そっと。」
純「そっとね。」
泣きだす勇気
一同「あー…。」
愛「お義兄さん 諦めないで 勇気ちゃんが 泣かない方法を みんなで考えましょう。」
コンビニの袋を使ってみよう
サト「これ どういうこと?」
愛「調べたんですけど ビニール袋を鳴らすと 赤ちゃんが泣き止むらしいんです。」
志道「え?」
愛「なんか お腹の中にいた時の音に似てるみたいで。」
志道「そうなの?」
愛「じゃあ 皆さん いきますよ。 せーの。」
泣き止まない勇気
純「ダメだよ これ。」
娘が好きな動物になってみよう
サト「なにやってるの 一体?」
愛「勇気ちゃんが うさぎのぬいぐるみが大好きだそうです。 だからうさぎの恰好したら泣かないかなって。」
サト「ああ。」
正「勇気 ラビットさんだよ。 ピョンピョン!」
泣きだす勇気
純「ああ… もう。」
ならば、発想の転換で…
サト「これは一体どういう狙いがあるのかな?」
純「ええ 今この状態で 愛君が抱いても泣かないので このまま バケツリレーのようにして 勇気を渡していくうちに勇気に慣れて そして本物のお兄ちゃんが抱いても泣かないというシステムです。」
愛「行きますよ。 はい。」
純「よ!」
愛「視界が悪いんで みなさん気を付けて。」
純「いきますよ 気をつけて。 いい感じだよ いい感じ。」
羽純「本物。」
正「勇気。」
泣きだす勇気
一同「ああ…。」