連続テレビ小説「カーネーション」第113回「あなたを守りたい」【第20週】

小原宅

小沢「ほな 握りを 何人前? 3人前?」

糸子「何で 3人前や? 5人前 取りいな!」

小沢「えっ ええんですか?!」

糸子「かめへん! 握りの松やで。 梅やら竹やら 取りなや!」

小沢「ありがとうございます!」

源太 吉村「ありがとうございます!」

糸子「ええて。 飢えた若い子に おなかいっぱい食べさすんが おばちゃんらの役目やさかいな。」

吉村「ありがとうございます!」

糸子「ハッハッハッハッハ…。」

源太「そういや 直子。 俺のオブジェ 評判 どんだ?」

糸子「あ! あれ あんたが こさえたんかいな。」

源太「あ おかあちゃん 見られました?」

糸子「見た見た~!」

直子「え? お母ちゃん いつ 見たんよ?」

糸子「はれ? 気のせいやったかいなあ?」

直子「え…? アホの支配人に『汚い鉄くず 置くな』言われて 片づけた。」

源太「えっ 本当に?」

直子「うん。」

糸子「分かってへんでなあ 支配人。」

源太「おかあちゃんには 分がってもらえますが?」

糸子「いや~ うちにも まあ 鉄くずにしか 見えへんけどやな。」

源太「あら…。」

吉村「ハハハ ハハハ!」

直子「せやから お母ちゃん いつ見たんよ?」

糸子「ほんでも 何ちゅうか おばちゃんも このごろ ちょっと賢うなってな。」

源太「はあ…。」

糸子「若い子のやる事 自分に分からんからて 間違うてるとは 限らんちゅう事を 覚えたんよ。」

直子「へえ~。」

糸子「要はな 外国語みたいなもんなんや。 うちには 分からんでも それで 通じ合うてる人らが いてる事は 分かる。 ほんでな 相手が どんくらい本気か 気持ちを込めて言うてるか ちゅうんも 何とのう 分かるもんなんや。 あの鉄くずは 本気なんやなあて 思うたで。」

源太「ありがとうございます。」

吉村「よかったな 源太。」

源太「ああ!」

糸子「なあ あんたら 将来 どんな夢 持ってんの?」

吉村「それは やっぱり プレタのデザイナーですね。」

源太「俺も。」

糸子「やっぱし プレタけ。」

源太「はい。 プレタのデザイナーさ なって 世界中の人に 僕のデザインした服 着てもらいたいんです。」

糸子「世界中?」

吉村「ええ。 おかあちゃん でも 本当に プレタなら 世界中の人を お客さんにできるんですよ。」

糸子「はあ~!」

直子「うちは 東京を 今のパリみたいにしたい。 東京が 流行の発信地になって パリのデザイナーが コレクション 開きにくる くらいになったら おもろい。」

吉村「東京コレクションか。」

直子「うん。」

吉村「いいねえ!」

糸子「ふ~ん… 世界! はあ…。」

小沢「頼んできました 握りの松。」

<若い子らの夢の形は 思てもみんほど 広々と どこまでも高うて 聞いてるこっちまで 飛んでいけそうでした 夢は大きいほど 壊れやすいかもしれんよって どうか どうか 守っていけるように>

小原家

居間

千代「へ~え。」

糸子「お母ちゃん 小沢君の 作ってや。」

<とりあえず おなかいっぱい食べさすんが やっぱし おばちゃんらの役目やな 直ちゃんばっかり あかんで。>

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク