<一方 浩ちゃんは 案外 辛抱強いたちで>
糸子「もっと。 もっと。 ちゃう。 この生地と ちゃうわ。 もっと厚手や。」
浩二「はい。」
<頼りになるっちゅう事が 分かりました>
孝枝「あ~ もう~! もう嫌や! もう分かれへん!」
糸子「孝ちゃん! 守! あんたも そない すぐメソメソしな! 仕事なんや! 歯ぁ食いしばって やらんかいな!」
孝枝「はい…。」
高山「ゆっくり いきます。」
岸和田商店街
正志「里香ちゃん?」
里香「そうだよ。」
正志「何 その格好? ここ 髪 キュッちゅうやつは?」
里香「やめた。」
正志「かいらしかったのに…。」
里香「悪かったな。」
『おなじみの ちり紙交換に 参っております。 古新聞 古雑誌 ぼろなど ございましたら…』。
「誰? あの小学生。」
「妹 ちゃう?」
「ああ『妹おる』言うちゃったな。」
小原家
リビング
糸子「あ 直子? あんな このベッド もう ちょっと 返したいんやけどなあ。 いや もう ほんま 邪魔になって かなんねや!」
高山「だから 販売網を作るにしたって いい縫製工場を 確保するにしたって とにかく 社会的な信用が 一番必要なんです。」
孝枝「はい。」
高山「もう一回 言いますけど 信用を得るには まず 資産があって それに 組織が きちっとしてないと駄目なんです。 ここまで 分かりますよね?」
孝枝「分かります。」
糸子「これか これか そうか これか。 難しいとこやなあ。 あんた どない思う?」
栄之助「これ。」
糸子「何で?」
栄之助「何となく。」
糸子「アホか! もう フフフ…。 ここは 大事なとこや。 しっかり考えんかい!」