糸子「やった… でけんで。 はあ~ やっと分かった。」
浩二「先生?!」
里香「おばあちゃん?!」
糸子「何もない。 ちょっと めまいしただけや。」
<調子乗って 無理し過ぎる>
浩二「先生?!」
里香「おばあちゃん?!」
浩二「先生?!」
里香「おばあちゃん?!」
寝室
浩二「しっかりして 先生。」
里香「大丈夫?」
<うちの人生 何べん そんで 怒られてきた事か>
里香「大丈夫? おばあちゃん。 おばあちゃん お水とか いる?」
糸子「ううん ええ。」
浩二「無理せんといて下さい… 先生。」
糸子「里香。」
里香「え?」
糸子「お母ちゃんらに言うたら あかんで。」
里香「うん…。」
<ちゅうて 周りは どないか ごまかせても 体だけは ごまかせません>
浩二「先生…。」
糸子「あ あ いたたたた…! いたたたた… う~ん!」
<『相変わらずアホやなあ…』ちゅうて 見てんやろ>
糸子「そのとおりや。 おはようさんです。 あ たたたた! あっ つつ~っ!」
オハラ洋装店
糸子「宣伝?」
高山「はい そろそろ 準備していきましょう。」
糸子「いや けど 娘らは 別に関係ないやろ。」
高山「関係ない訳ないじゃないですか! あんな超ビッグネームが 3人も いるんですよ!」
糸子「せやかて うちは 嫌やで?! あの子らの名前に ぶら下がって 宣伝すんのなんか!」
高山「そんあ 甘っちょろい事 言ってる場合じゃないですよ。」
糸子「ああ? 何が 甘っちょろいや! うちは 自分の商品に 自信あるし 娘らなんか 客寄せに使わんかて やれるちゅうんや!」
高山「そりゃ 3年先の話です。」
糸子「何?」
高山「先生 今 全国で どれだけの人が オハライトコを知ってますか?」
糸子「そら… 全国ちゅうほど 知られてはないけどな うっとこの服 いっぺん着てもろたら…。」
高山「そんな悠長な事 言ってる暇 ないです。 あっという間に 次 作る資金 無くなりますよ。 いいですか 先生。 僕達は このオハライトコの服を 買った事がない人達に この価値を バシッと 言い切らないと いけないんです。『岸和田の洋裁屋のおばちゃんが 作った服です~』。 そんな地味な話に 誰が 耳 貸すんですか。 オハライトコには どんな価値があるのか そこに もう のっけられるだけのものは のっけていかないと駄目なんです。 娘さん達には 何が何でも 宣伝協力して頂きます。 それなしは 絶対に成功しません!」
糸子「う~ん うう~ん! むき~! う~ん… 孝ちゃん! こいつ 腹立つ!」
孝枝「知りませ~ん。 うちは ちゃんと耐え抜きましたよって 先生も耐えて下さい。」