連続テレビ小説「カーネーション」第20回「誇り」【第4週】

(歓声)

根岸「そのまま まっすぐ 布を送っていきます。 ああ いいですね!」

<今日は 直線縫いの しかたで 終わりそうです。 この調子やと ほんまの洋裁なんか いつになるんやろうなあ>

「先生 さようなら!」

根岸「さようなら!」

糸子「あの。」

根岸「はい。」

糸子「すんません。 洋裁は いつごろ 教えて もらえるようになりますか?」

根岸「え?」

糸子「うち ミシンは もう使えるさかい 洋服の作り方 教わりたいんです。」

根岸「そう。 ミシンは どこで習ったの?」

糸子「パッチ屋です。 3年間いてました。」

根岸「そうねえ なら確かに この教室では物足りないでしょう。」

糸子「はい。」

根岸「でも ごめんなさい。 私は 東京からミシンの講師として ここに呼ばれてるので 教室では あれ以上の事は お教えできないの。」

糸子「え? 洋裁は教えて もらえへんのですか?」

根岸「簡単なスカートなら縫えるように なるわよ。」

糸子「うちは 簡単じゃないやつが 縫えるようになりたいんです。 ほんまの洋裁を 勉強したいんです。」

根岸「それは この教室では 教えられないわ。」

糸子「何でですか?」

根岸「この教室はね ミシンを買われたお客様に 使い方を お教えするためのものなの。 お客様に 合わせない訳には いかないわ。」

糸子「え~。」

道中

貞子「あれ? 糸子やんか?」

勇「ほんまや。」

貞子「糸子! 糸子!」

糸子「人… 人違いです!」

貞子「ちょっと 何 言うとん。 あんた 何しとんの? 1人か?」

パーラー・浪漫堂

貞子「ウフフ! それで逃げたんかいな?」

糸子「なあ 頼むさかい うちに 心斎橋で会うた事 お父ちゃんに言わんといてな。」

貞子「言うかいな そんなもん。 心配せんと はよ お食べ。 溶けてまうよ。」

糸子「おおきに。 恩に着るわ おばあちゃん。」

貞子「せやけどな あんたこそ 私らに会うた事 家に言うたらあかんよ。 今日 ないしょの あいびきやもんね。」

糸子「ないしょ? 何で?」

勇「僕 欲しい模型があってな。 心斎橋にしか売ってへんねやんか。 で おばあちゃんに言うたら 一緒に来て買うてくれる事に なってんけどな。 パパとか おじいちゃんには ないしょにしてんねん。」

貞子「私が勝手に 孫に物 買うたら 怒るんよ。 パパも おじいちゃんも。」

糸子「ふ~ん。」

貞子「そやけど そのミシン屋さんは 残念やなあ。」

糸子「そうやねん。」

貞子「先生は ミシンだけやのうて 洋裁も教えとってなんやろ?」

糸子「うん。 東京やったらな 洋裁専門の学校があってな そこでは 本格的な事も 教えてんやて。 けど 大阪では まだまだ そこまでの授業は でけへんて。 まずは もっと ミシンが広まってからやないと 無理なんやて。」

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