子供部屋
糸子「えらいこっちゃ えらいこっちゃ えらいこっちゃ…。 えらいこっちゃ えらいこっちゃ…。」
台所
糸子「えらいこっちゃ えらいこっちゃ えらいこっちゃ。 おはようさん!」
千代「おはよう。 あんた また そんな行儀の悪い事して。 ああ お父ちゃんに 怒られるでえ。」
(せきこみ)
千代「あ~あ もう! ほれ! あ~あ。」
善作「お~い 千代!」
千代「あ… へえ!」
善作「昨日 中村さんから預かった反物 どこや?」
千代「えっ へえ… 確か… ええと… ああ どこやったかな?」
<去年の暮れに 大正天皇が お隠れになり 昭和という新しい時代が 始まりました>
玄関
糸子「行ってきます~!」
「糸ちゃん おはよう!」
糸子「おはようさん!」
「気ぃ付けや!」
糸子「おはようさ~ん!」
<うちは いっちょまえの 女学生になりました>
道中
糸子「あっ 雨や。」
奈津「雨や…。」
糸子「奈津! 奈津! 奈津 傘 入れて。」
奈津「はあ? 嫌や。」
糸子「何でやねん? 入れてえな。」
奈津「嫌やちゅうねん。 何で あんたなんか 入れなあかんよ?」
糸子「入れてえなあ。 入れんか この どケチ!」
奈津「嫌や! 絶対 嫌や! あっ! 糸ちゃん 傘 入り。 ぬれるで。」
糸子「うん…。 泰蔵にいちゃん おはようさん!」
泰蔵「おう!」
糸子「仕事 気ぃ付けてな 雨 降ってるさかい。」
<相変わらず だんじりは 大好きやけど うちの夢は もう 大工方や ありません>