居間
直子「ああ!」
♬~(レコード『銀座カンカン娘』)
(レコード 空回り音)
♬~(レコード『銀座カンカン娘』)
糸子「アホ! しっかりしい!」
(拍手)
台所
聡子「ただいま~。」
2階 座敷
聡子「ただいま~。」
優子「お帰り。」
オハラ洋装店
美代「みんな 楽しそうやった。」
糸子「ほんまに? いや それだけじゃなくて 作りに来てや。」
美代「ほんまやな。」
(笑い声)
糸子「ほなな。 おおきにな。」
「はいはい また寄ってよ~。」
松田「どうもどうも おおきに。」
昌子「おおきに。」
糸子「優子~! 聡子~! あんたらも ちょっと手伝うて~。」
2階 座敷
聡子「は~い!」
優子「うちは 絵ぇ描いてるて 言うといて。」
聡子「うん。」
オハラ洋装店
北村「えらい盛況やんけ。」
昌子「まあ!」
糸子「何してんや?」
北村「見に来たったんやないか。 オハラ洋装店さんが 記念すべき第1回ファッションショー するちゅうさかいに。」
糸子「呼んだ覚えないわ。 ホラ吹き男なんぞ。」
北村「お前よ いつまで そんな古い話 ネチネチ ネチネチ 言うてんじゃ。 美容に悪いど。」
糸子「何とでも言え。 墓に入るまで ネッチネッチしたるわ。」
北村「はよ ほんな 墓 入ってくれや。」
聡子「あっ 北村のおっちゃんや。」
北村「よう!」
直子「あっ ほんまや!」
北村「うわうわ 何や お前ら。 ちょっと見ん間に ごっつい 大きなっちゃあるんやんか~。」
聡子「エヘヘッ せやろ?」
北村「何や ここの子ぉら。 どいつもこいつも ニョキニョキしやがってよ~。」
千代「はら~ 北村さん 来てくれはったんですかあ?」
北村「どうも おかあちゃん 元気しちゃあた?」
千代「おかげさんで。」
北村「どうも。」
千代「こないだ 何ちゃらちゅう 上等な果物 ようさん 送ってもうて…。」
北村「あれな バナナゆうねん。 上等やぞ あれ。」
千代「ああ! おいしかったなあ。 ごちそうさんでした。」
昌子「ごっつ おいしかったです。」
北村「ほんまけ? そら よかったわ。 おうおう チビちゃんらよ 何ぞ 甘いもんでも 食わしちゃろか?」
聡子「ほんま?!」
直子「うちも行く!」
北村「行くか。」
糸子「ええて! そんなん せんで。」
北村「ええやんけ!」
糸子「はあ?」
北村「ええんじゃ わいが 言うてんやから。」
直子「せやせや。 ええねん。」
北村「お姉ちゃんも 呼んじゃれや。」
糸子「ええて!」
北村「ええやんけ!」
聡子「優子姉ちゃ~ん! 北村のおっちゃんが 甘いもん 食べさしてくれるて! 行く~?」