連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第106話「2001-2003」【第22週】

榊原「うん。 向こうでも試作はしたらしいけど やっぱり足が痛うならへん なじみのええ足袋作ろう思たら 相当な技術がいるいうて。」

ひなた「ああ… そうなんですね。」

榊原「春に来はった時に いくつか持ち帰らはったけど とりわけ 雉真繊維の足袋がええ言うたはる。」

ひなた「えっ。」

榊原「うちの衣装さんらも気に入って あれ以来 雉真にシフトしはったんやて。」

ひなた「はあ~ 知らんかった。」

榊原「大月さんは親戚やし 先に伝えとこ思て。」

ひなた「ありがとうございます。 あの 私からも 大叔父に電話してもいいですか?」

榊原「うん 構へんよ。」

ひなた「あっ ありがとうございます。 あの これ…。」

榊原「ああ ありがとう。」

道場

<『サムライ・ベースボール』は SF時代劇です。 マット・ロリンズ演じる主人公は 現代を生きるアメリカ人ですが あの日 幕末の日本の弱小藩に タイムスリップしてしまいます。 その藩主を演じるのが剣之介>

(太鼓の音)

<そして その藩主が最も信頼している 無口な家老が虚無蔵です>

(太鼓の音と シャッター音)

「ハリウッド映画『サムライ・ベースボール』への出演が 決まりました 桃山剣之介さん 伴 虚無蔵さんの 記者会見を行います。」

剣之介「(小声で)『虚無さん。 まぶしいでしょう。 暗闇にいたんじゃあ 見えないものもあるんですよ。』」

(泣き声)

轟「よかった…。」

畑野「はい!」

<剣之介演じる藩主は 藩政が うまくいかず悩んでいます>

太秦映画村

<タイムスリップしてきた主人公は 侍たちと なんとかコミュニケーションを 図ろうと 野球を教えます。 主人公は 野球を教えることで 侍たちと交流を深めていきます。 藩主は 野球を通して 藩の侍たちを統率することを考え また 主人公も藩主を通し 武士道を学びます。 しかし やがて尊王攘夷の嵐が吹き荒れ クライマックスは これぞハリウッド という大合戦シーンが撮影されます>

マット「Use your glove. It’s for the ball. Now, knee throw. Overhand like this, ready? Wow, you’ve got a really good arm!」

ひなた「そういうたら 今回 来てはりませんね アニー・ヒラカワさん。」

榊原「ああ…。 キャストも撮影も ほとんどは ニュージーランドやから そっちに行ってはるんやろ。」

ひなた「そうか…。」

大月家

居間

ひなた「ただいま。」

るい「お帰り。」

勇「お帰り。」

ひなた「大叔父さん!?」

勇「よう。」

勇「商工会の集まりが大阪であってのう。 せっかくじゃから寄ったんじゃ。

るい「急に連絡してきて びっくりしたわ。」

勇「うん。 すまん すまん。 ハハハッ。」

ひなた「桃太郎 元気にしてる?」

勇「ああ。 わしに似て 名サードじゃ。」

ひなた「アハハッ よかった。」

勇「ひなた。 今朝の新聞 読んだで。」

ひなた「えっ?」

勇「条映で ハリウッドの映画が作られるんじゃてな。」

ひなた「いや うちは協力するだけで 作るのは あくまでもハリウッドなん。 撮影は ほとんど海外やし。」

勇「何にしても うれしいニュースじゃ。 ハッハッハッハッ…。」

ひなた「その映画のことで もう一つ ビッグニュースがあるんやで。」

勇「うん?」

(すすり泣き)

勇「そうか…。 雉真の足袋が…。 そうか そうか…。 ああ… はあ…。 ようよう打順が回ってきたのう。」

ひなた「打順?」

勇「うん。 雉真繊維は 小せえ足袋屋から 父さんが一代で築き上げたんじゃ。」

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