連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第16話「1943-1945」【第4週】

勇「ありがとう。 重とうねんかな。」

安子「えっ?」

勇「あっ いや… すいか 丸ごと のみ込んで 歩きょうるようなもんじゃろう。」

安子「ハハハッ おかしな言い方せんといて。」

(笑い声)

安子「あ…。」

勇「えっ?」

安子「蹴った…。」

勇「えっ?」

安子「蹴った。」

勇「えっ…。 わっ… ホンマじゃ 蹴った。」

安子「ねっ。」

勇「ハッハハハ… こけえ 兄さんの子がおるんじゃのう…。」

安子「うん。」

ダイニング

千吉「徴兵検査は いつなら?」

勇「あさってじゃ。」

タミ「大学野球の有望選手まで 召集されるんですねえ。」

勇「甲子園で活躍した嶋 清一も とうに出征したそうじゃ。」

安子「お義母様。」

美都里「何で? 何でじゃ。 稔だけじゃのうて 勇まで…。」

勇「母さん…。」

ラジオ『ニュースを申し上げます。 大本営 6月16日8時発表。 本日午前2時ごろ 支那方面より 敵B29爆撃機 20機内外 北九州地方に来襲せり。 我が制空部隊は 直ちに邀撃…』。

勇「アメリカの爆撃機が 本土まで飛んできたいうこと?」

美都里「稔は… 無事なん?」

千吉「稔はまだ 横須賀で訓練じゃ。」

美都里「そこは 安全なん? 爆撃機は来んの? 何で? 何で 母親の私が 会いに行けんのんじゃ。」

勇「母さん もう やめてよ。 つれえのは 母さん一人じゃねえんじゃ。」

美都里「(すすり泣き)」

安子「お義母様…。」

美都里「こんねして 私のおなかにおったんよ。 稔も勇も。」

商店街

♬『歩け歩け 歩け歩け 南へ北へ 歩け歩け 東へ西へ 歩け歩け』

清子「何や 降りそうやねえ。」

花子「嫌じゃ 洗濯もん出しっ放しじゃ。」

清子「うちも。 ラジオの天気予報がのうなってしもてから しょちゅうえ。」

小しず「不便じゃねえ 敵に知られたら おえんからいうて。」

花子「小しずさん。 安子ちゃん いつでえ?」

小しず「あと みつきほどじゃ。」

花子「そう。 楽しみじゃなあ。」

清子「楽しみやけど 心配やねえ。 何もかんも ままならん こないな時に…。」

小しず「こねん時じゃからこそ 生まれてくる子なんじゃて思ようります。」

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