連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第27話「1948」【第6週】

勇「何で そねんことをするんなら?」

安子「大阪で そねんして るいと暮らしょおったから…。 それに お義父様は 心配せんでええ言うてくれたけど るいのおでこの傷だきゃあ 私が どねんかしてやりてえ。 どねえにお金がかかるとしても 自分で治療費を稼ぎてんじゃ。 いけんじゃろうか…。」

勇「いけん言うても そねんするんじゃろうが。」

(笑い声)

安子「勇ちゃんは? 会社のお仕事 慣れた?」

勇「あ~。 わしゃあ つくづく 野球しか能のねえ人間じゃ。 4番 サード 雉真選手も 会社じゃあ ただの役立たずじゃ。」

安子「じゃけど そねえな勇ちゃんにしかできんことが あるんじゃねえかなあ。 小せえ頃から 野球ばあしてきた 野球に打ち込んできた勇ちゃんにしか できんことが。」

勇「うまそうじゃのう。 一口くれえ。」

安子「ううん。 触ったらいけん。」

勇「何でなら。」

安子「いけんのんじゃ。」

勇「ちょっとぐらいええじゃろ…。」

安子「いけん。 いけん言ようろうが。」

勇「何じゃ ケチじゃのう。」

安子「ケチじゃねえ。」

勇「…見せかけて。」

安子「あっ!」

勇「何でなら。」

安子「いけん。」

千吉「おはよう。」

安子「あっ おはようございます。」

勇「おう。」

千吉「安子さん ちょっとええか?」

安子「はい。」

リビング

千吉「商店街で おはぎゅう売りょうるそうじゃな。」

安子「はい。 いけなんだでしょうか?」

千吉「いけんたあ言わん。 おはぎゃあ あんたにとって 特別なもんじゃ。 じゃけど るいを連れていくんは やめとかれ。 家にゃあ 美都里も雪衣さんもおる。 必要ねえじゃろう。」

安子「あ… じゃけど…。」

千吉「分からんか。 長男と嫁と その幼え娘ょう 外で働かしょおるとなりゃあ 雉真のメンツに関わるんじゃ。 るいは 雉真の子として こけえ帰ってきたんじゃ。 それを忘れたらいけん。」

玄関

るい「何で? 何で? 何で私は行ったらいけんの?」

安子「お願いじゃから ええ子にして。 言うことを聞いて。」

るい「嫌じゃ。 お母さんと一緒に行く! お母さんと一緒に おはぎゅう売る!」

安子「わがままあ言うんじゃねえ! 全部売れたら すぐに帰ってくるから。 なっ?」

(足音)

安子「雪衣さん。 留守の間 るいをお願いします。」

雪衣「はい。 行ってらっしゃいませ。」

安子「行ってきます。」

(戸の開閉音)

水田屋とうふ

安子「おはぎゅあ どうですか? たちばなのおはぎです。 おはぎゅあ どうですか? 甘えですっよ。 おはぎゅあ どうですか?」

<安子は るいのために 一つでも多く おはぎを売りたいと思っていました>

安子「どうですか? たちばなのおはぎは どうですか? おはぎは どうですか?」

(ラッパの音)

力「ただいま~!」

安子「お帰りなさい。」

きぬ「お帰り。 え… もう全部売れたん?」

力「隣町に ぎょうさんお得意さんができてのう。」

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