連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第3話「1925―1939」

神社

<なぜ戦争が激しくなると パーマネントがかけられないのか 安子には よく分かりませんでした>

安子「早うパーマネントがかけられる日が 来ますように。」

道中

「1 2!」

一同「1 2 3 4!」

「1 2!」

一同「1 2 3 4!」

「1 2!」

一同「1 2 3 4!」

勇「あんこ!」

安子「勇ちゃん。」

勇「久しぶりじゃなあ あんこ。」

安子「や す こ。」

勇「もうすぐ地方予選じゃあ。 あんころ餅ゅう持って応援に来えよ。」

安子「誰が あんたの応援なんか。」

勇「見とけえ。 絶対 甲子園行ってたる!」

<小学校で同級生だった勇は 中学に進学し 全国中等学校優勝野球大会出場を 目指しています。 今で言う 高校野球の全国大会です。 野球少年たちの夢は 甲子園に出場すること。 そして ゆくゆくは 六大学野球で活躍することでした>

<安子には これといって 夢と呼べるものはありません。 安子は ただ 大好きな町で 大好きな人たちと暮らす日々が いつまでも続けばいいと思っていました>

商店街

ラジオ『よ~い 始め!』。

♬~(『旧ラジオ体操第一』)

橘家

お菓子司たちばな

安子「おばあちゃん。」

きぬ「ああ?」

安子「すいか切ってあるから食べてこれえ。」

きぬ「ヘヘヘッ そうか。 ほんなら。」

(足音)

安子「いらっしゃいませ。」

稔「あっ。 はあ…。」

安子「どうぞ 涼んでください。」

稔「あ… すんません。」

安子「暑いですねえ。」

稔「いや~ 全くです。」

安子「お使いものですか?」

稔「いや 帰省してきたところなんじゃけど 慌てて汽車に乗ったもんじゃから 土産を買いそびれしもうて。」

安子「ご家族にお土産ですね。」

稔「あ~ 何がええじゃろう。」

安子「そうですねえ。 このところは わらび餅が よう出ます。」

稔「ああ 涼しげでええですね。」

安子「しゃあけど 私は おはぎがええ思います!」

稔「おう…。」

安子「あっ すんません…。」

稔「フッ そねん おいしんですか?」

安子「はい! うちのあんこは 絶品なんです。 小せえ時から ず~っと食びょって 飽きんのじゃから 間違いありません!」

稔「そんなら その… おはぎゅう もらおうかな。」

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