連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第55話「1963-1964」【第12週】

錠一郎「サッチモちゃんに 結婚を申し込みました。」

和子「けっ…!」

錠一郎「おじさんと おばさんの お許しがもらえたら 2人で東京で暮らすつもりです。 お願いします。 サッチモちゃんを…。」

るい「やめて! 何なんですか いきなり。 おじさんも おばさんも びっくりしてはるでしょう? 私が大阪に来てから おじさんと おばさんには ホンマにお世話になってるんです。 娘のゆに かわいがってもらってるんです。」

錠一郎「分かってるよ。 分かってるから…。」

るい「分かってない! 分かってたら そんなこと ぶしつけに言えるわけない! おじさんと おばさんは 就職に失敗した私のこと拾ってくれた。 クリーニングのこと 一から教えてくれた。 それやのに 今更 辞めるやなんて そんなこと 簡単にできるわけないでしょう?」

和子「何を言うてんの。 そない いつまでも おられても 困るわ。」

平助「フッ…。 せやで。」

るい「でも…。」

平助「るいちゃん。 うちに 跡継ぎがおらんから 心配してくれてんのか?」

和子「あほらしい。 こないな店なあ 一代限りでええんや。」

平助「こないな店 言うな。」

和子「ハハッ そらな もちろん うちらが2人で作った大事な店や。 そやけど そないなもんは ただの形や。 『るいちゃんみたいな ええ子が いっとき手伝うてくれたなあ』。 いつか隠居した時に 縁側で2人で そないな話ができたら うちらは そんで幸せや。」

平助「大月君。 娘を よろしゅう頼みます。」

錠一郎「はい。」

和子「るいちゃん これ食べなさい これ。」

るい「ありがとうございます。」

和子「おいしいから。 ああ。」

平助「あ~。 (泣き声) るいちゃんが おらんようになったら… さみしなるなあ。」

和子「あんた さっきと言うてることが スカタンやないの。」

平助「そうかてな。」

錠一郎「そんな… 今すぐ行くわけやないですから。」

平助「そうかてな… もう…。」

和子「ハッハッハッハッ。」

るい「また遊びに来ます。」

和子「そやそや 子供連れてな。 うん。」

平助「ハッ… 孫が出来るんか?」

和子「うん…。」

平助「ううっ そらあ ええのう。」

(笑い声)

平助「アハッ 孫か!」

和子「笑うてる。 笑うてるわ。」

(平助のすすり泣き)

和子「で 泣いてんの? 泣くんか 笑うんか あんた はっきりしいな。」

平助「あっ でも 孫か…。」

(笑い声)

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

<錠一郎はレコーディングのため 一旦 一人で東京に向かうことになりました およそ3か月かけて レコーディングをし その発売を記念して クリスマスに 銀座でライブをする というスケジュールです>

るい「レコードの録音って 3か月もかかるもんなんですね。」

錠一郎「う~ん… 僕も初めてやから よう分からんけど 大勢の人が関わるもんらしいよ。」

るい「ふ~ん。 体に気ぃ付けてくださいね。 ホテル暮らしなんでしょ?」

錠一郎「いや ササプロの社長さんの家に居候。」

るい「えっ?」

錠一郎「でっかいお屋敷みたいよ。 そないして 新人が 寝泊まりするための部屋があるんやて。」

るい「はあ~ そう。 ホンマに大きい会社なんですね。 『ディッパーマウス ブルース」…。」

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