公園
錠一郎「何 考えてんの? さっきから。」
るい「ジョーさん。」
錠一郎「うん?」
るい「回転焼き屋さん やってみいひん?」
錠一郎「回転焼き?」
るい「あれやったら 最低限の設備でできると思う。」
錠一郎「お… お店持つってこと?」
るい「うん。」
錠一郎「竹村クリーニングの おじさんと おばさんみたいに? え~…。 できるかなあ…。」
るい「やってたこと あるんや。 お菓子屋さん。 お母さんと2人で。 大阪で おはぎ作って売ってたん。 この傷も… その時に…。」
回想
(クラクション)
回想終了
錠一郎「いいの? しんどくならへん?」
るい「なるかも…。 でも… 分かる時が来るかもしれへん。 何で お母さんが 私を捨てたんか。」
錠一郎「やってみよ。 2人で。」
大月家
<るいと錠一郎は 回転焼き屋を開くための 手ごろな物件を見つけ そこに暮らし始めました>
店舗
錠一郎「ただいま。」
るい「お帰り。 分かった?」
錠一郎「これでいいの?」
るい「うん ありがとう。」
<るいは 幼い頃の記憶をたどり あんこ作りを始めました>
るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すは。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。 食べる人の 幸せそうな顔を思い浮かべえ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 その気持ちが 小豆に乗り移る。 うんと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 はっ!」
るい「ありがとう。」
るい「よし。」
錠一郎「食べてみよか。」
るい「うん。」