大月家
回転焼き屋・大月
森岡「奥さん! はあ はあ はあ… えらいこっちゃ!」
荒物屋・あかにし
吉右衛門「見たら分かるやろ! いっこも大丈夫やあらへん!」
るい「ジョーさん。」
錠一郎「ああ… るい…。」
るい「すいません。 主人が いらんことしたせいで…。 あの… これ おわびのしるしです。 売り物で申し訳ないですけど…。」
吉右衛門「要らん。 こないな気色悪いもん。 もう許されへん。 あんたらには この商店街出てってもらう。」
るい「そんな…。」
清子「吉右衛門。 そないに きつうに言うたらあきまへんえ。」
吉右衛門「お母ちゃん…。」
清子「あんたが調子に乗って チャンバラなんかするから 腰いわすんよ。 回転焼き屋さん 始めはったんやてねえ。」
るい「はい。」
清子「大変やろうけど お気張りやす。」
るい「ありがとうございます。 あの… これ…。」
清子「あっ 頂戴します。」
吉右衛門「お母ちゃん!」
清子「何やの。 あんた昔から あんこ好きやったやないの。」
吉右衛門「そうやけど…。」
清子「昔は 素直なええ子やったのに。 年々 お父ちゃんに似てくるやさかい。」
大月家
回転焼き屋・大月
一子「はい 次。 おばちゃん 何個?」
「3つ頂戴。」
「うちは 4つ。」
一子「4つ。 はい おおきに。」
るい「一子さん…?」
一子「あっ よかった。 今 なくなるとこやったんや。 早う 次の分 焼いて。」
るい「はい。」
「野田さんとこの一子ちゃんが おいしい言うんやったら 間違いあらへんわ。 なあ?」
「ねえ。」
一子「認めたるわ。 どないな老舗のお茶菓子より 一番おいしかった。」
「早う焼いて。」
るい「はい。」
一子「はい おおきに。」
荒物屋・あかにし
吉右衛門「何や 懐かしい味するなあ。」
清子「ほんに…。 フフッ おいしいなあ。」
<こうして 少しずつ 回転焼き屋『大月』は 町の人たちに 認められるようになりました。 And so, little by little, Kaiten-yaki shop “Otsuki” came to be accepted by the townspeople>