錠一郎「僕の時は応援してくれてたやん。 コンテスト出るってなった時。」
るい「あ…。 それとは… 全然意味が違うわ。」
錠一郎「僕は知ってるよ。 挑戦するのって わくわくすることやで。」
(足音)
ひなた「お母ちゃん! もういっぺん 回転焼き焼かせて。」
るい「えっ?」
ひなた「うまいこと焼けたら コンテストに出させてください。 お願いします。」
るい「はあ…。」
ひなた「生地作らんと。 ええと… 小麦粉と 水と 小麦粉と小麦粉と…。」
錠一郎「小麦粉ばっかりやないか。」
ひなた「あと何やったっけ? えっと…。」
るい「やめなさい。 材料の無駄や。」
ひなた「お母ちゃん!」
るい「回転焼き一つにも その人が出るんや。」
ひなた「そんな嫌み言わんでもええやん。」
るい「この… ちょっと はみ出す感じ…。 これが ひなたなんやろね。 やるんやったら 本気で優勝目指しなさい。」
ひなた「えっ…。」
るい「手ぇ抜いたりしたら お母ちゃん 許さへんで。」
ひなた「ハハ… ハハハッ ありがとう! お母ちゃん!」
るい「ちょっと ひなた。 台所でバタバタするんやないの。」
ひなた「ありがとう!」
るい「ジョーさ~ん。 もう… 何やの。」
広場
<ひなたは 早速 書類審査の準備を始めました>
ひなた「早うして お父ちゃん。」
(シャッター音)
錠一郎「あれ?」
ひなた「もう お父ちゃん! フィルムもったいないやんか。」
錠一郎「ああ… もう一回 もう一回 もう一回。」
ひなた「何やってんの…。」
錠一郎「はい そのまま そのまま。 はいはいはい。」
吉右衛門「写真撮影か。 どれ 私が撮って進ぜましょう。」
錠一郎「ああ ありがとうございます。 助かります。」
吉右衛門「カメラには 幼少のみぎりより親しんできたさかい。 こら また 骨とう品みたいなカメラやな。 ハッハッ。 どれ。」
ひなた「お父ちゃん 入ったらあかん!」
(シャッター音)
高校
一恵「何で おっちゃん一緒に写ってるん。」
ひなた「気にせんといて。」
小夜子「これがええんと違う?」
ひなた「う~ん…。」
一恵「こっちの方が ようない?」
ひなた「これは ないやろ!」
一恵「履歴書は書いたん?」
ひなた「うん。 あ~ あと自己紹介文も書かなあかん。 作文 苦手やのに…。」
小夜子「私 手伝ったげるえ。」
ひなた「ホンマ? ありがとう!」
吉之丞「ひなた。 何や ミス条映コンテストに応募するんやて?」
ひなた「そや。」
吉之丞「お前が優勝できるんは ミスばっかりコンテストや。」
ひなた「吉之丞! お前 もう ホンマに! 帰れ! お前! お前は… いつもホンマに お前。」